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第87話 新たな2人は予約済み


 結論から言おう。彼女達は紗理奈さりなさんを受け入れた。


 もう少し詳しく言うと、四人が揃った頃から思っていたのは、俺を満足させるには四人では到底足りないということ。


 俺が絶倫すぎるため、将来的に確実に奉仕に手が足りなくなるという予感があったそうだ。


 そんなことはないと言いたかったが、俺自身いくらでもできてしまう超絶倫体質であることは間違いなく、肉体が満足という感情を得るまでに時間が掛かるのは事実だ。


 でも、一人一人の心と向き合うことで満たされるし、それを不満足に感じることなんてないし、俺はこれ以上を求めたりするつもりはなかった。



 ちなみに若菜わかなさんはまだ帰ってきていない。


 ここにいるのは俺、有紗ありさ希良里きらり小春こはるの四人。そして紗理奈さりなさんという構図となる。紗理奈さりなさん的にはまだ若菜わかなさんには内緒にしたいらしい。


 彼女は男嫌いの気があるとのことなので、自分が男性と、それもハーレムやっている男と、なんて知られたら何を言われるかわからないとのことだ。



 ともかく、まずはお互いを理解するところから始めようと言うことになり、しばらく交代でデートするルーティンに彼女も加わることになった。


 他の皆がこう言ったことを既に受け入れていることが驚きであったが、俺としては少々思うところがなかったわけではない。


 最終的には俺が嫌なら受け入れなくていいという結論にはなったものの、少々心が追いつかない部分がある。


 なので交際うんぬんはまずは置いておくとして、男性に慣れていきたいという彼女の願いを叶えるという段階から始めることにした。


 エッチにも興味があるという紗理奈さりなさんの願望をどうするかという問題がある。


「まずは二人でデートしてみたらいいんじゃない?」


 有紗ありさはあっけらかんと言う。


 ちょっと複雑な気分であったが、皆は早速紗理奈さりなさんと仲良くなっている。


 どっちを優先させるか。俺は悩む。俺の感情か、みんなの意見か。


 俺は皆に幸せになってほしいと思っている。皆が俺を満足させることができないなんてのは間違いであるが、その延長で仲良しハーレムが出来上がっていくならそれも良しか……。


 だがこうも思う。ここで俺がクヨクヨしてウジウジ悩むことは、最終的に彼女達全員を失望させ、傷つけてしまうことにもなりかねないのだと。


「分かった。まずは受け入れよう。紗理奈さりなさんと仲良くなるところから始めよう」


◇◇◇◇◇


 次の日、昨日と同じく彼女達を学校に送った後に引っ越し業者の立ち会いをすることになった。


 そこら辺は特に何か起こった訳ではないから割愛するとして、その新居の凄まじさについて語っておくとしよう。



「こ、ここが二人の新しいマンション……っ!?」

「すご、い……」


 俺と小春こはるは二人して呆けてしまった。まず驚いたのは高級マンション特有の美しいエントランスだ。


 フロントには常駐で係の人間が立っており、マンションというより何かのお店ではないかと思うほどだ。


 フロアの隅々まで作り込まれた上質なインテリアが設けられたエントランスは、そこが客室の一部と言われても疑わないだろう。


 部屋の中も驚きの一言だ。洗練された清潔感と高級感のある内装は、木漏れ日のような柔らかい光に満ちた空間を演出している。


 しかもだ。このマンションは地下通路で隣接されたショッピングモールに直結しており、徒歩5分で商業施設に直行できるらしい。


「世の中ってこんな世界があるんだ……」

「びっくりだよ本当に……」


 マンションのお部屋は二人暮らしには途轍もなく広い2LDK。リビングやダイニングの間取りも広く、なんと家具も備え付けだった。


 高級感溢れるインテリアはファンタジーのお城かと思うほどに美しい。


 ベランダは日当たり良好。外からは見えない柵と窓が付いて洗濯物も干しやすい。

 床暖房に高性能システムキッチン。生ゴミディスポーザー。


 高機能オーブンレンジや最新型の大容量多機能冷蔵庫、製氷機、浄水器まで備え付け。


「テレビで見る芸能人の住まいみたいだ」


 広くて部屋数も多いので荷物の運び入れは楽に終わり、紗理奈さりなさんは若菜わかなさんに完了のメールを済ませていた。


「これ家賃いくらなんだろう……」

「想像も付かないね」


 引っ越し業者が帰っていった後、俺達は新居で紗理奈さりなさんが出してくれたお茶を飲みながら談話していた。


「樋口さん、小春こはるさん……ありがとう。助かり、マシタ……」


「お役に立てて良かったよ」

「こんな素敵なマンションを1日で用意してしまうなんて、紗理奈さりなさん達のご両親は凄いんだねっ」


「イロイロ……ぶっ飛んでマス……」


 子供の目線から見てもご両親は中々のぶっ飛び具合らしい。それだけ浮世離れした人達なら、娘に対してあの変な扱いでも納得なのか……?


 いや、それでもちょっと色々と思うところがある。一言言ってやりたい気分だ。


「順平ちゃん、思ってること顔に出てるよ」

「あ、すまん」


「樋口さん、嬉しいデス。ウチの親、ちょっと普通の人と違う。でも、悪い人、違いマス」


 それはなんとなく分かる。分かるけど、娘達が危険な目に遭いそうになったのに電話の一言だけで済ませて会いにも来ないなんて親としてどうなんだろうって思う。


 それでも、たった1日でこれだけのセキュリティを持ったマンションをぽんと準備してくれるだけ愛情表現をしてると考えることもできるのか。


「それじゃあ、またデートに出かけましょうか。みんなで引っ越し祝いのパーティーしよって約束してるから」

「そうだな。それじゃあ食材の買い出しにいこう」


◇◇◇◇◇


 それから俺達は若菜わかなさんや有紗ありさ達を迎えに行き、改めて新居で引っ越し祝いのパーティーを開くことになった。


「あ、そうだ、若菜わかなさんと紗理奈さりなさんに提案があるんだけど」

「どうしたの?」


 有紗ありさがパーティー用に作ったポテチをパリパリとかじりながら指を立てる。


「今度私達5人で春休みのリゾートプールに旅行に行くことになってるんだけど、2人も一緒にどう? 今なら追加の宿も取れるみたいからさ」


「え、いいの? 行きたいッ」

――コクコクッ


 2人とも賛成らしい。はしゃぐ女の子達の中で、希良里きらりはこちらを見ながらウインクをした。

 どうやら、これは紗理奈さりなさんだけでなく、若菜わかなさんをもハーレムに取り込む算段をしているという予感がした。


 その夜……。パーティーが終わり、俺達はそろそろお暇しようということになった頃……。


「樋口さん、お願い、ある」


 その帰り際、紗理奈さりなさんから呼び止められて耳打ちをされる。


「どうしたの紗理奈さりなさん?」



 その言葉は俺の心臓を高鳴らせるのに十分だった。


『……今度、皆さんのエッチ、見せてほしい、デス』



 そして数日後、俺達の家に紗理奈さりなさんが1人で訪ねてきた。


◇◇◇◇◇


「約束通り、エッチ、見せて欲しい、デス」


 インターホン越しにそんなことを言われて慌てて中に入れたのは言うまでもない。


 今日は有紗ありさ希良里きらりも出かけていていない。

 いるのは小春こはると姉ちゃんだが、課題で忙しい姉ちゃんは家に閉じこもっている。


「私は、いいよ……紗理奈さりなちゃんなら」


 大胆なことに抵抗のなくなってきた小春こはるはあっけらかんと言ってのけた。


 そんな訳で、公開エッチという初めてのチャレンジが始まる……。

 なんか女の子達が受け入れるのが早くて俺の精神が追いつかないのだが……。


 慣れるのかな……?



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