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第※※話 シンクロする奉仕者


 羞恥プレイは一段落つき、今度はラブホにやってきた。


 ラブホテルというのは人生で2回目だ。


 前回は最高級クラスのホテルだったが、今回はスタンダードなものを選んでいる。


 3人で入るとなると追加料金が必要だったりとちょっとシステム的にややこしかったりするが、手持ちのお金でなんとかなりそうだったので入ることにした。


「なあ2人とも、ちょっと提案があるんだけどさ」


「うん、いいよ」


「まだ何にも言ってないけど?」


 苦笑しながら彼女の頭を撫でて髪を梳いた。


「ワイルドで乱暴な順平ちゃん……見てみたいな♡」


「どういうことデスか?」


 俺と小春こはるのアイコンタクトで成立した会話であったが、当然紗理奈さりなはついて行けてない。

 どういうことかと説明すると……。


小春こはる、俺達の認識があってるかどうか、俺の考え解説してみてくれるか?」


「んっと……さっき同人誌に出てくるチャラ男みたいだって言ってたよね。せっかくチャラ男っぽい格好してるんだから、それっぽいムーブしてみていい?って言おうとしたんじゃないかな」


「百点満点だ」


「やっぱり凄いデス……。小春こはるちゃん、ご主人様の考えてること全部分かっちゃう……」


 人生で初めてのクズムーブ。どこまでできることやらであるが、せっかくならトコトンやってみたいもんだ。


「じゃあシチュエーション考えてみるか」

「順平ちゃんとクズ男って対義語みたいだもんね。純粋に相性悪いと思うよ」


 小春こはるにはしては珍しく俺の意見に異を唱えてきた。というより、俺がクズ男みたいなことをする姿が想像できないモノと思われる。


「だよなぁ。あんまり人にイヤな事ってし難いんだよね」


「優しいクズ男目指してみたら?」


「ものすげぇ矛盾した設定だなそれ」


 思わず笑ってしまう。優しいけどクズってどういう風にやれば良いのやら。


「あ、じゃあこういうのはどうかな?」


 小春こはるはなんとも楽しそうだ。なんだかんだでこの状況を一番楽しんでいるのは小春こはるかもしれない。


 彼女の出したアイデアによって、今から始まる3人でのエッチがかなり楽しいモノになりそうな予感がした。



「んじゃあ小春こはるの言ったシチュエーション通り、クズ男っぽい言い回しとかやってみることにしよう」


 今の俺は金髪で褐色でタトゥー入りの見た目危ない男だ。


 できるだけ人を見た目だけで判断はしない主義であるが、同じ格好の男が目の前に現れたらお友達になろうとは積極的に思わないくらいには危ない男だ。


「うん、じゃあ私達もちょっと嫌がってみるね」

「まああくまでプレイだから、本当にイヤだったらタップして合図してくれな」

「分かった」


 実はさっきやってみたかった事と言うのは小春こはるとのエッチでちょっと乱暴にスパンキングしながら腰を振りたい、くらいの考えだったのだが、小春こはるの提案でもうちょっと本格的にやってみることした。


 言葉遣いや相手に対する気遣いよりも自分の欲望を優先させることなど、色々と考えて設定してみる。


 俺的にクズ男=自分勝手、あるいは欲望に素直、というイメージがある。


 相手のことより自分の快楽が優先のセックスをする感じで、まずはやってみようということになった。


「あ、そうだ順平ちゃん」

「どうした?」


「せっかくだから花恋かれんちゃんが好きそうなシチュエーションで動画録ってみたいんだけど」


「ああ、なるほど。いつか寝取りっぽいシチュエーション見たいって言ってたもんなぁ姉ちゃん」


「うん。やっぱり私と順平ちゃんが花恋かれんちゃんそっちのけでエッチしてるのが凄く興奮しちゃうみたいで。二人でエッチした時の話を聞かせながらエッチすると凄く感じてくれるんだ」


「二人でそんな事やってたのか。じゃあ今度映像付きで見せながらエッチしてあげなよ」

「あはは、それ良いかも。花恋かれんちゃんきっと喜ぶよ。実はこれ、花恋かれんちゃんにお願いされてたんだよね」

「自分で言ったのか」

「うん。名付けて、『最後は誰も不幸にならないNTRプレイ』、だってさ」


 なんというか、ネーミングセンスが独特だな。自分から恋人を寝取って欲しいと言ってくるあたり、本当に極まってきている。


 この頃はラブラブエッチばかりしているけど、元々姉ちゃんは俺限定で寝取られることを性癖としている。


 つまり小春こはるが姉ちゃんよりも俺を優先させることに。あるいは俺が小春こはるを姉ちゃんから奪い取るようなエッチに興奮を覚えるという、まあまあ変わった性癖なのである。


 世の中には一定数、奪い取られることに酷く興奮する人種がいるが、まさかそれが自分の姉だとは露ほどにも思わなかった。


 よし、さっきこの姿を爆笑された仕返しに最高の寝取りプレイ動画を撮ってやろうじゃないか。


紗理奈さりな、撮影係頼めるか?」

「お任せくだサイ。さっきのでバッチリコツはつかんでマス」


 紗理奈さりなはスマホを構えて意気揚々と準備を始める。


 姉ちゃんが興奮するのはあくまで小春こはるが相手の時だけであるから、必然的に小春こはるとのセックスを撮影することになる。



「あ、そうだ小春こはる。見せる時はちゃんと趣旨をしっかり説明してくれよな。ガチのヤツだと誤解されたら俺は死ぬ」

「あはは、分かってるって」


 万が一姉ちゃんに冗談が通じず、ガチのヤツだと誤解されると俺は間違いなく死亡が確定するので取り扱い注意だ。


「それじゃあ始めるか。シチュエーションは姉ちゃんの恋人である小春こはるをクズ男の俺が寝取りビデオを撮影するシチュエーションで。紗理奈さりなの役目は撮影係をする俺の性奴隷ってことで」


「ご主人様の性奴隷、興奮しマス♡」


 紗理奈さりな紗理奈さりなで性奴隷扱いを喜ぶという中々にコアな性癖を持っている。

 実は小春こはるにも通じるモノがあるのでいずれ本格的にセックスを始めたら二人揃ってやってみるのも良いかもしれない。


 メイド服とか着せてみたいもんな。有紗に全員分オーダーしてもらえるように頼んでおこう。


 あ、紗理奈さりなが既に作らせているって言っていたな。楽しみだぜ。


「よーし、それじゃあ始めるか」


 そうして寝取られ風動画の撮影がスタートした。


 小春こはるは深呼吸を始めていく。どうやら役の入り込むために自己暗示的なことをしているらしい。


 俺も小春こはるの提案に乗るために恥じらいを捨てて本格的にやってみることにしよう。

 一応本気のアウトな時は俺の身体のどこかを3回タップするという合図を決めてある。


 俺達はベッドに座り、小春こはるを後ろから抱き締めて紗理奈さりなに撮影スタートの合図を送った。


 紗理奈さりなからスイッチを入れたサインが送られ、俺は役に入り込みながら小春こはるの肩を抱いて強く掴んだ。


 ビクリと身を固くした身体を足で挟むように抱き寄せ、カメラに向かってセリフの第一声を発する。


「よーすっ、花恋かれんちゃん見えてるか?」


花恋かれん、ちゃん……」


「今から花恋かれんちゃんの大事な恋人、小春こはるちゃんと寝取りセックスしまーすっ」


 俺はできるだけ見たらムカつきそうな喋り方で声を出してみる。こんな喋り方したら確実に姉ちゃんの鉄拳が飛んでくるレベルを想定してのチャラ男ムーブだ。


「そんな怖がって身を固くしないでよ小春こはるちゃん。せっかくだから楽しくやろうや」

「そんなこと……無理です……」

「心配しなくても痛くしないからよ。ちゃんと気持ち良くしてあげるからね」


 DQNっぽい喋り方はできているだろうか。自分の言動に自信が湧いてこない。

 慣れないことはするもんじゃないな。


「写真、ちゃんと消してくださいね……。花恋かれんちゃんには手を出さないで」

「わーってるって。小春こはるちゃんとラブラブエッチするだけだからさぁ」


 シチュエーションとしては、姉ちゃんと小春こはるがエッチしてる所を動画に撮った俺が花恋かれんちゃんを脅迫しない代わりに、小春こはるがそれを受ける。


 というアウトラインを決めた。ちなみに小春こはる自身がやってみたいと言い、同人誌の知識が豊富な紗理奈さりながシチュエーションを提案した。


 あとは適当にアドリブだ。


 途中で噴き出さないように注意しなければな。


◇◇◇


 小春を擬似的に脅して手籠めにしちゃうプレイはめちゃくちゃ気に入ってくれたみたいだ。



小春こはる監督、役者の演技は如何でしたか?」


「はひぃ……未経験の快楽でした……」


 それは良かった。目標の優しいクズ男ができていたかは正直分からないが、満足を与えることはできたらしい。


小春こはる、大丈夫だと思うけど聞かずにはいられないのだが、大丈夫?」


「うん。まだ色んなところが痺れてるよ……」


 息を弾ませながらベッドに突っ伏す小春こはるを撫で、目を細めて甘える小春こはるを愛でる。


紗理奈さりな、すまん。設定作ったのに相手してやれんかった」

「ダイジョブ、ワタシ、興奮、デス」


 普段以上に片言が加速している。どうやら本当に興奮しているらしい。


 三人でベッドに川の字になって寝転び、うつ伏せで並びながら動画の再生ボタンを押した。




「うーむ。こうしてみると本当にただのDQNだな。優しいクズ男にはほど遠いな」

「そうかな? ちゃんと順平ちゃんの優しさは伝わって来たけどなぁ」


「それは小春こはるにしか分からない優しさなんじゃないかなぁ」


「私にとっては百点満点かなぁ。意外と向いてるかもしれないよ」

「いやまあ、興奮はしたけど終わった後の罪悪感が凄いな……。これは小春こはるとしかできない気がする。有紗あたりは本気で泣きそうだ」


 小春こはるの演技力には舌を巻いたものだ。あれだけのハードに対応できるのは小春こはるだけのような気がする。


「そうかな。みんなイケると思うよ」

「ワタシも、そう思います。ワタシも、して欲しいデス」


「でもやっぱりちょっと優しすぎるかなぁ。最初はもっと乱暴にしても良いと思うよ。その方が最後の方の優しさが際立つと思うし」

「それってDV男のやり方じゃんか」


「えへへ。なんかアレだね。私って順平ちゃんを好きにならなかったら、ダメ男にハマるタイプかも。今の順平ちゃんだったらお金貢いでセックスお願いするのかな」


「いやそれもう優しさとかなしの本気のクズじゃんよ。なんか嘘でも想像すると悲しくなるからもうやめようぜこの話題」

「うん、ごめん。私もちょっと興奮の余韻で変なこと言ったね。あくまでプレイだって分かってるから楽しいと感じるだけだもんね」



「ま、たまに刺激を求めてやる分には良いだろう。俺も興奮したのは事実だし」

「そうだね。あ、どうせならさ、動画の上映は花恋ちゃんとエッチするときにやってみようか」

「姉ちゃん喜びそうだな。グヒグヒ言いながらよがりそうだ」


 実際結構際どい喘ぎ声を出しながら倒錯的な性癖に喜びを見出すのが姉ちゃんだ。


 その前に一発くらい殴られるだろうが、それを込みにしても気持ち良くなってくれるだろう。


「ご主人様、紗理奈さりな、ちゃんと、できてますか? 性奴隷、ちゃんと」

「いつも思うけど、恋人じゃダメなの?」


「恋人、嬉しいデス……。我が家、夫に仕えるのが女の幸せ。恋人、夫、ご主人様、デス」


 片言で伝えてくる紗理奈さりなの気持ちが何故か伝わってくる。言葉の種類は色々と語弊があるかもしれないが、惚れた男に尽くしたいという紗理奈さりなの純粋な気持ちは確かだった。


「やっぱり紗理奈さりな小春こはるによく似てるんだな。そういう一途な気持ちの表しかたがそっくりだ」


 そして二人を並べてみると顔もそっくりに見えてくる。


 恍惚の表情で奉仕を喜ぶ性格もそっくりだった。


「うれしいデス…。ご主人様に分かってもらえて、はぁん♡ んぅ、小春こはるさん、そこ、お尻ぃ♡」


 どうやら小春こはるが嫉妬したらしい。

 何に嫉妬したのかというのか。それは多分本人も自覚していないだろう。


 小春こはるは奉仕者としてかなりプライドを持っている。普段は大人しく、皆と同調して自分は前に出ずに陰ながら引っ張る存在だ。


 奉仕者としてのレベルが誰よりも高いことは、多分誰もが認めるところだろう。


 その小春こはるにして、心の底から惚れた男の為に自らを奉仕者と名乗る紗理奈さりなに、無自覚な対抗心を抱いたのではないだろうか。



 と、ぼんやりとではあるが、何となく俺はそんな風に感じた。

 それをもっとハッキリと自覚するのは、俺達の関係性がもっと深まってからになるのだが、この時の俺はまだその程度の認識しかしていなかった。


「ふはぁ……クズ男らしいことする暇もなかった」

「ご主人様は、やはりご主人様であれば、よいデス」

「私もそう思う♡」


 その後、シャワーを浴びて小麦肌のクリームを落とし、タトゥーは家に帰ってから希良里達に落としてもらった。


◇◇◇◇◇


 翌日、小春こはるの言葉はやはり正しかったことが証明された。


「やっぱり普通の格好が一番落ち着くなぁ……クズ男ムーブは色々と心が削れるからたまにだけにしたいもんだ」

「にーちゃん動画みたーっ! チャラ男セックスッ、ウチもヤリたい♡」

「兄ちゃんあんなに激しくできるんだ♡ 私もやって欲しいなぁ♡ ねえ兄ちゃん。もっといっぱいご奉仕するから私達もしたいなぁ♡」


「ほら、やっぱり私の言った通りだったでしょ? 花恋ちゃんもして欲しいって」


「マジか……クズ男大好評だな」


 まさかの大好評であった。

 まあ、たまになら自分のカセを外した激しいのも悪くないけど、人格的にあんまり向いてないので本当にたまにだけにしてもらおうかな。


「今度はメイド服にしてぇ、首輪も付けてみよっか♡」

「希良里サン、それ、とても素敵デス♡」

「またバニーガールやってみたいね。若菜ちゃんも誘ってみようか」


 女の子達はキャイキャイと姦しく次はどんなエッチをするか相談している。


 ハーレムという特殊な環境を、彼女達はとことん楽しんでいるようだ。


(若菜ちゃんももう少しで落とせそうだし、これから楽しみだなぁ♡)


 そんなことを希良里が呟いているとは、この時の俺は露知らず。まさかあんな形でハーレムに加わるとは思っていなかった。


 まあ、知っての通り、このあとの旅行で希良里が若菜を落とし、希良里のためにハーレムで処女を捧げることになるのだ。


 彼女との関係の発展も今後の課題となっていくだろう。せっかく皆でやってるハーレムだから、できれば仲良くしていきたいものだ。



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