私と、天鳳室長と、濱元さんは役所の職員に案内され、市長室へ通された。
そこには、既に複数の人が待機していた。役所の関係者、京都府警の関係者、メディアの人間まで。
よくこんなのを即日でセッティングしたものだ……本日三度目のドン引きモード突入である。
さっそく授与式が開始され、市長と対面し賞状を受け取り写真撮影を行う。何やってんだか。
メディアの質問時間となり、大手新聞社から地元紙まで様々なメディアから質問を受けた。
「現在のお気持ちは?」
「まだ実感が湧きません……当然の事をしただけなので……」
「救助した方へ何か一言ありますか?」
「ご無事で本当によかったです。お大事にしてくださいと伝えたいです」
「鴨川はとても浅い川ですが、なぜあのような事故が発生したと考えますか?」
「熱中症なのかなと感じています。当時とても暑かったので」
「柿本さんはエンジニアをされているとの事ですが、具体的にどういったお仕事を?」
「え? ……WEBコンテンツ関連の制作を少々……」そんな事聞くの?
「今までどういったコンテンツを?」え?
「……クライアントによって守秘義務がありますので……詳しいことは……」帰りたい……
いくつか関係ない質問もあったが、質問時間は終了した。
その後は、つつがなく進み、授与式は終了した。
三人は市役所を出て、待機していた車へ乗り込む。
「あの……お腹痛いので帰っていいですか?」ぽんぽん痛いです……
「正露丸あるぞ?」まじですか……
正露丸を渡されて何も言えなくなりパッケージを眺めることしかできない。
「…………」
嫌な予感が膨れ上がるばかりで、なんとしても今日は帰りたかった。
なので、もう一度お願いしてみることにした。
「では、また後日ということでおねが……」
「ノォーゥ!!」
「だからなんで英語やねんっ!! パリピかっ!!」
「ぷっ」
助手席で濱元さんが吹き出す。
「失礼しました」
「…………」
地獄行きの車が動き始めた。
しばらく走っていると、天鳳室長が話し始めた。
どうやら、ようやくこれからの事を話してくれる気になったようだ。
まあ、もう逃げも隠れもできないですもんね……
「静夜殿は、鬼霊対策室の存在は知っていたか?」
「いえ、初めて聞きました」
正直、全く知らなかった。
あとで聞いた事だが、九年前に天鳳室長が設立した特殊機関だそうだ。
その後、東方と西方に分割し現在に至るそうだ。今は形式上は、警察組織の一部になっている。
「ここ数ヶ月で、爆発的に鬼や大鬼の数が増えている事は?」
「それは、感じていました」
そうなのである。ここ数ヶ月で、鬼の数が明らかに増えていた。
普段いるはずもないような場所に現れたりしている。
私も、もう既に二ヶ月で三十体を超える鬼と大鬼を喰らっている。
コウが、夜の散歩で外を飛び回っている時に見つけてくるのだ。
「うむ。そんな鬼が激増する中、こちらもこのままの戦力で戦うには、あまりにも危険な状況だ」
「はあ……」頑張ってくださいとしか……
「これから
「東西の対策室の室長、宮内庁長官、防衛省の大臣が出席する」
「!?」大臣? 宮内庁? てか京都御所って……
「そして今回、静夜殿あんたが見つかった事によって、大御所が動く」
「大御所?」サブちゃんとか?
「大社だ。
「はぁ!?」