四機の
『気に入らん……ぶち気に入らんぞ……‼ 神聖なる
とはいえ細身の〈双燕〉でさえ、何本もの木々を遮蔽にしてもなお弾を防ぎきることはできず、機体のあちこちに損傷を蓄積させている。
「あの……あの機体は……!」
小隊の最後方で機体を屈ませている
「あれは
『ねんごー垂れんのは後じゃ‼ 敵は敵‼ しゃんしゃんせえや‼』
佑月は頭部カメラを木の幹から覗かせ、前方を盗み見ながら、
『小隊聞け! 今からうちが突出して敵の射撃を引き受けるけぇ、お前らはその間に――』
『中尉‼ お待ちを‼』
副隊長の
『な、何じゃワレ‼ うちの命令に叛く気か‼』
『そうではありません‼ 後ろを……‼』
志道の機体は頭部を後方の林道に向けていた。他の機が続々と背後を見る。
「な……!」
華凛は絶句した。
巨大な金属の塊が、道路の幅いっぱいに鎮座し、しかもそれが奇妙な音を発しながらじりじりとこちらへ向かって来ている。前面は鋲の打たれた分厚い金属板で、よく見るとそれは巨大な盾であることが分かった。
何者かが、魂鋼の盾を構えながらこちらへ迫って来ているのだ。
小隊の誰もが言葉も発せないうちに、その巨大な盾が大きく揺らめき、地面をこすりながら横に移動した。そして盾を構えていたものが姿を露わにした。
華凛の乗る
「は、挟み撃ち――⁉」
華凛はパニックになりかけた。
『いや……あれは』
佑月の無線は、正体不明の重量機が突如発した声に遮られる。
『一発三十両じゃ』
轟発――遥か後方で爆発が起こり、小隊が一斉に振り返る。敵方のうち一機が爆炎を上げて倒れ伏しているのが見えた。
誰もが呆気に取られている中、重量機は右手の大口径連装銃を下ろし、青年の声を発した。
『こいで僕らん仕事は終わったち思うてたもっせ。
一瞬、その場の全員が、動きを止めた。
『…………
佑月の絶叫が無線の音声を軋ませた。
刹摩のものらしき重量機はどこ吹く風といったように後ろを振り返り、爽やかで耳に心地よい青年の声で、
『のう
華凛は今気づいたが、その機体の後ろにはもう一機黒い機体があった。盾持ちの機体よりは細身だがやはり重厚で、特に下半身が極めて太い。銃器は持っておらず、代わりに背部に長刀を三振りも背負っている。その機体もまた外部スピーカーで低い声を発した。
『……
その間に敵の部隊は混乱から回復し、一機、また一機とこちらに向けて銃撃を開始した。
『いしたっ』
刹摩の重量機は奇声を発し、前に出て左手の盾を地面に叩きつけた。銃弾が突き刺さるが、分厚い魂鋼を貫通するにはとても至らない。
刹摩機は盾を構えながら、
『ないをそげんぼさっしちょらるっ。張州サァ、はよ突撃してけ』
『こんの……‼ 刹摩の……‼ 芋ったれが……‼』
佑月は毒づきながら制御盤を操作し、外部スピーカーに切り替えて怒鳴った。
『
『……なんと、おなごにごあしたか。じゃっどん、そげな指図はお断りしもす。刹摩もんじゃからいうて誰もが血膨れた
『
華凛は焦心に駆られ、頭部を出して敵方を見た。すると思わぬものが目に入った。
「ねえ、ちょっと……あれ見て! 〈
カメラをズームし、その姿をモニターで確認した時、華凛はさらに驚愕の声を上げた。
「あれ……