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投獄された姫君、秘策を打つ

 扉の先の隠し通路を抜けて、森の方角へと駆けていくわたくしたち一行。


「まさか、姫様があれだけの魔力を隠し持っておいでだったとは・・・・・・!」


 わたくしを抱えながら走るフィリアさんが、わたくしの魔力のあまりの大きさに感嘆の言葉を漏らしていますわね。


 ・・・・・・ちなみに、当初はゴリロウさんが担いでくれる予定だったみたいですが、全力で拒否していたらフィリアさんが代ってくださいましたわ。さすがのイケメン力で、役得の限りでございますわね。


 惜しむらくはフィリアさんが女性だということですが……でも、これだけイケメンなら女性でもアリですわね。なんだか禁断の扉が開かれるような音がしてきましたわ。 


 隠し通路を封印していた扉は、わたくしが魔法を放つとド派手に消し飛びました。「雷属性の超特大ダメージ」とかいうものだから、まさかなんて思ったら……。


「……ねえ? アルくんの死因って雷だって言ってたよね……?」


 ぶりぶり女は生意気にもわたくしのことを疑っているようですわね。


 ・・・・・・お前みたいな勘のいいぶりぶり女は嫌いですわ。


「こら、リリー! 何を無礼なことを考えている!」


「フィルくん……」


 あろうことかわたくしのことを疑っている不敬なぶりぶり女のことをたしなめるフィリアさん。


 そうですわ! もっと言ってやっておしまい! ・・・・・・なーにが「フィルくん」だ! けっ!


 しっかし、こうして脱出できたはいいものの、一つだけ大きな問題が……。


 あっ、けっしてぶりぶり女をどう始末してやるかとかではありませんわよ・・・・・・? ……もう、それについては考えてありますもの。


「ウホウホ」


「・・・・・・どうした、ゴリロウ? 何!? もう追手が!?」


 ・・・・・・そう。扉をド派手に吹き飛ばしてしまったせいで、脱獄が2秒でバレたことですわ!


 砦の方角の空からは、黒く大きな翼を広げてものすごい速度でこちらへ飛来してくる影が一つ。・・・・・・間違いなくハイド様ですわね。


「そんなぁ……! なんでもうハイデンリヒターが!?」


 なんでも何も、あんなド派手な真似してバレないわけがないでしょうに。そんなんだから、あなたは頭ぶりぶりなんですわ。


「追いつかれちゃうよぉ……!」


「ウホウホ」


「『まともに戦っても、今の僕たちでは勝ち目はありません』……か。・・・・・・悔しいが、ゴリロウの言う通りだな。いったいどうすれば……?」


 刻一刻と迫りくるハイド様を前に絶望し、唇を嚙みしめて俯いてしまう三人組。


 まったく。頼りにならないボディガードたちでございますこと。


 ・・・・・・仕方がありませんわね。ここでわたくしが一肌脱いで差し上げますわ。


「皆さん、どうか落ち着いてください。わたくしに考えがございますわ」


 この状況を打開するためのとっておきの秘策を披露してさしあげましょう!


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