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運のない男 /花/鳥/風/月

 僕は運が悪い。


 どれだけ運が悪いか。彼女とのデートで野外イベントに行こうとしたら雨で中止。別の日はレストランで奮発しようとしたら、臨時休業。これは運がついていないというほかない。


 そんな僕でも愛想をつかずに付き合ってくれる彼女に感謝している。





 ある日、僕は次のデートスポットとして静岡県にある花鳥園を選んだ。屋内展示がメインだから、雨が降っても大丈夫だ。臨時休業ばかりはどうしようもないが、なんとかなるだろう。


 今は五月。少し暑いが、爽やかなそよ風が吹くと心地よい。


 花鳥園の名物はハシビロコウだ。いざ、ハシビロコウと対面すると……なんと、動き回っているじゃないか。ハシビロコウは動きを止めることで有名なのに、これでは全くもって面白くない。


「次のエリアに行こうよ」と僕。


「そうね。あなたのしたいようにしましょう」


 やはり、僕にとって彼女は天使だ。


 いざ、次のエリアに行くと、一羽の鳥がバサバサと翼を羽ばたかせてやってくる。そして次の瞬間、僕の頭にフンをする。うへぇ、これはついていない。その時だった。彼女がこう言った。


「これで運がつくわね」と。

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