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第7話  ワタルとナオ No.9ー6


歩きながら、変わった人だなあと思った。歩きながら、後ろを歩く私に、名刺を渡した。


 ツキコは月子。

月のイメージと違うなあ、すごい、せっかちで、足が長くて、大股でグイグイ歩いて。

ホテルに入ってから、しっかり見ようと、名刺は帆布のバッグの内ポケットに入れて。


 すると、私の後ろを歩くリエと名乗った人が、歩をつめて、私の背中をつつく。

振り向くと、名刺。

ちらっと見て、地図、あら? 表にかえすと、「おたすけばあ」、、なんだろう?


真ん中に、理恵と。リエは理恵か。


ふわーっと、疑問の霧が。


何? おたすけばあって何? 


 そうこうしている内にホテルに付いた。館内は混雑していた。


真ん中の広い階段を上がって、フロントは2階。


 月子さんは、かなり、せっかちな人だ。


キーを受け取りながら、


「頼んでおいた食事、すぐ部屋に運んで!

もう、お腹ぺこぺこ!


 あ、それと、お弁当も一緒にね!」


部屋に入ると、手を洗って、ジャケットを脱ぎ、空調のスイッチをかちかちいじって、、


ボストンバッグを開けて、カーディガンを出して、着る。


理恵さんも、動きは素早いけれど、静かに動いていて。


挑戦的な眼をした美人の理恵さんの性格は、月子さんほどには、せっかちではないような。


  月子さんは、せっかちで、タンパラのように見えた。


「今朝、千歳に着いたんだけど、あなたのお母さんに会いに行って、


次に、尚さんの職場でしょう。


で、あなたの弟さんに会って、。


お母さんも、弟さんも、了解したよ。 


 でも、あなたから話がくるまでは、黙っていてもらうことにしたの。


でさ、そのあとに、熊倉三郎君。


大学は夏休みに入ったよね、実家には帰らないでバイトしてた。


工場現場で旗振りのバイト。


日中は札幌も暑いよね、7月だもの、、


危険だからだと思うけど、暑い作業服着て、ヘルメットかぶって、分厚いジャケット、袖無しだけど、あれ、重いし、暑いわ、、働いていた。


いい男だね。


メールを何通も何通も送っても返信もないのに、すごい熱情で私達の会に、あなたとあなたの弟さんに奨学金を出してやってって。


あなたの事、好きなんだね。彼は。


彼の熱意が私を動かした。


 基本はね、 本人からの申し出で審査に入る規則なんだけどね。 」






        (つづく)

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