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第12話   相性 No.22ー2

親の薦めで、親類の世話好き叔母さんの紹介で、その話に両親が乗り、当人の私は、イマドキ、見合いなど、存在するのかと思いながらも、面白半分で、見合いをして。


 一応は、相手に望まれた形で、すんなり、あっさりと結婚した。

思い出すと、そもそもが、それが間違いだったように思う。


 互いに、相手の事を何も知らずに結婚してしまった。

見合いをしたのは、23才の終わり。

あと、数日で24才の誕生日という日だった。


料亭の1室で、シズシズと行われた。

私は、小紋の和服姿だった。

いかにも、和服くらい、着なれているように。


母に着付けてもらい、髪も母にアップにしてもらい、母は、いかにも、力んでが嫌いで、あくまでも、さりげなく、さらっと、着付けてくれ。


鏡に写る自分に、正直、なかなか、美しいと思ったものだが。


あのとき、薄いラベンダー色の草履が、少々、歩きにくくて、閉口した記憶だけが鮮明で。


ほんの、お付き合い、興味半分、だったはずが。

夫は、その見合いの席でさえ、ひどく、凛々しく、積極的で。


見た目は抜群。経歴も抜群で。年齢は私よりも、8才上で。メガバンクに勤めていて。

その場で、夫は、是非、あなたを妻にしたい。

あなたは美しい。あなたのように清潔な女性は、なかなかいないだろう。

などなど、嫌味なく、言い。


翌週の土曜日には、早速、デートをする約束をして。


 車で1時間程の港町にドライブして。

私は、生まれて始めて、キスをしてしまった。

キスをされてしまった。

車の中で。

それも、今だから分かるのは。

そのキスは、ディープだった。

24才の女と31才の男ならば、それも、結婚を前提条件に付き合い始めた男女ならば。

そのくらいは、当たり前のことなのだろうが。


私は、初めてで。

いつ、終わるのかと。

じっくり舌をからめとられていて。


結婚て、面倒かもなぁと、その時、既に、感じていたかもしれない。



車は、先輩に借りてきたとかで。

私は、どうして車を買わないのかと聞いた記憶があるが、夫が何と答えたかは、忘れてしまった。



ただ、結婚して、すぐ、夫は車が欲しいと言い、私の預金で現金で買った。国産だが高級車を。









       (つづく)

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