目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第13話  相性 No.22ー3

見合いをして、3か月後に結婚した。

私は、仕事を続けた。

さして仕事を続けたいなどとは考えていなかったけれど、夫は、子供が出来るまでは仕事は続けた方が良いのではと言ったので。


 オール電化のマンションで、家事といっても、さして大変でもなく。

私は、独身時代も結婚後も、はた目には、変わらない暮らしぶりだった。


 結婚して、良かったとも、幸せだとも、はっきり言って、何も思わなかった。

夫を嫌いとは感じなかったが、愛しているとか、離れたくないとか、所謂、新婚生活の甘さなど、一切、感じなかった。

そのあたりが、鈍感女なのかもしれず。



夫は、私が女優さんの、誰だかさんに、似ていると、ベッドの中で、よく囁き。

その女優さんは、名前は知っていても、私には興味のない人で。


 幼稚園から大学まで、ずっと一緒だった、友人の理恵に、その事を話すと、


「ほら!! やっぱり! 似てるのよ! いずみに言ったでしょう、、大学の時から、何回も言ったわよ、、。

いずみは、まるで覚えてないのね。


透き通るように白い肌とか、くびれた腰とか、、ぷっくり唇、、似てるのよ、、。


ただ、いずみは、おしゃれに興味なくて、、必要最小限のお化粧しかしない、、。

いずみのファンは沢山いるのよ。


あのね、、いずみの水着姿の写真を持ってる人、何人もいるのよ、、」


「へぇー? どこで写したんだろ?」


「え?! いずみ、あなた、、いつも何考えてるの?


ハワイに行ったでしょう、グアムにも、、仲間と。


いずみが真っ白のビキニの水着姿、男だけでなく、私達、同性も、素敵で、いっぱい写真撮ったのよ、、知らないの?!」


「そうなの、、?

ハワイの時? グアム?


私は特に行きたくもなかったし、、。


あの頃、少し、株で損失出てて、頭の中は、取り戻すことだけだったはず。」


「いずみは、ホント、変わってるわ。


周りに沢山、いずみを望む男の人がいたのに、1度も、恋をしないで、結婚しちゃうんだから、、」



理恵は、幸せなのよね、あの女優さんに似ているって、ベッドで囁くってことは、愛してくれてるのよねと。一人合点していて。


私は、たぶん、 鈍感で未熟なのか、理恵が愛してもらってるのねと言っても、愛してもらってるとは思わなかった。


いつもベッドの中では、早く終わって、早く終わってと頭の中では繰り返していたのだから。


ちっとも、嬉しくなかったし、感じるって感覚もなかった。





        (つづく)

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?