目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第14話  相性 No.22ー4



結婚して、6か月ほど過ぎた頃だったろうか。

朝8時に家を出て、夜は付き合いがない限りは、8時前には帰宅、土日祝日は休み。


夫の職場は銀行で、特別な問題がなければ、そのようにある程度規則的な生活だった。

夫は、早く子供が欲しいと、毎夜、私を抱いた。

飽きないのかなぁと、私は密かに思っていたが。



理恵達から聞いていた話とは随分違い、夫はタフなようで、とにかく、時間が長くて、私は、早く、こんな事に、頭の良い夫が飽きてくれたらよいのにと考えていた。

土日は休みなので、土曜の夜は、それはそれは、激しく、長く。


それが、ある日、結婚して6か月が過ぎた頃の土曜日の朝、夫は


「ゴルフの付き合いがあり、泊まりになる、帰りは、明日の夕方になる」


と言いおき、そわそわと自分でゴルフ道具やウェアやシューズを用意して出掛けて行き。

その時、私は、あら!良かった、今日は一日のんびりしようと、大喜びだったはず。



そして、それから、毎週、土曜日の朝に出掛けて、日曜日の夕方に帰宅する習慣になった。



それ以外、何ひとつ変わった事はなく。

私の頭の中は、投資一筋だった。


二つの証券会社にフラれて、かえって拍車がかかった。


一応、20代の女性で、結婚もしている主婦なのだから、母のように、コツコツ儲けていればよいのに、私は、投資のノウハウを教えてくれた祖母のように、ガツガツ儲けてやろうと考えていた。


祖母は、平均的なサラリーマンの妻でありながら、50代から投資を始め、今では、日本のあちこちに賃貸するためのマンションを持ち、ハワイにもグアムにも、別荘を持っている。


今、夫と住んでいる、このマンションも、祖母の所有。


夫が言い出した。

お祖母さんのマンションを少し安く借りることは出来ないかな?と。



話した覚えはないのに、夫は祖母の資産を知っていた。

祖母は、無料で貸してくれた。

3LDKの新築マンション。

祖母は、子供が生まれたら、もう少し広く、階も下の方に移ると良いと。



夫は、日曜の夕方、いつも機嫌よく帰ってきた。

いつか、私は、そばに寄って、ただいまとキスをする夫の匂いに、ある異変を感じていた。


シャンプーやボディソープではない、強い香水の匂いを感じていた。








       (つづく)


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?