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第16話  相性 No.22ー6



私は少々、変人かもしれない、女性として、一般的な成人の女性としては変人かもしれないが。

夫こそ、変人ではないかと。


家具を置かず、泊まりの客でもあったらと、空けておいた部屋で、私は、フローリングに直に布団を敷いて寝ることにしたが。

夫は夜中に、


「いずみ、怒ってしまったんだね。

いずみを抱きながら眠りたい、ここで寝ていいかな?」


私は、怒るより、夫のヌケヌケとした図々しさに呆れてしまった。


「気持ち悪い事言わないで!!

今後、一切、私に触らないで!!」


夫は、平気の風で、


「いずみは怒っても可愛いな。


まあ、今夜は諦めるけど。

寂しくなったら、いつでも抱いてやるからね。

彼女は、僕より年上でね、、涙を流すよ、キスをしただけでね。


じゃあ、おやすみ」



なんという男なんだろ、バカにしないで!!


夫は、変人だ、変人に違いない。

私には色がないとか。

いやいや、職場で、私のアダ名は、シロクロさん。


それって、夫の言う、色が無いと同じ意味だろうか。

今の今まで、気にもしなかったけれど。


おやすみとドアを閉めて寝室に行ったはずの夫が又戻ってきて、


「いずみ、教えておくよ。

彼女とは、いずみの会社の橋場さんだよ。今、彼女に連絡してね。


いずみが僕を受け入れないようだと、僕は困るのでね、水曜日も泊まりに行くことにしたよ。


いつまでも拗ねてないでね。


僕が愛しているのは、いずみだけだよ。

大人になりなさいね。


じゃあ、本当に、おやすみ。」


私は、夫は変人ではなく、頭がおかしくなっているのだと確信した。


明日は、この部屋に付けるカギを買ってこよう。

カギは、どこで買えるのか、ところで、自分で取り付けられるのだろうか。

私は、やはり、無知な人間に違いないと。

そして、橋場さんは、常務の公然とした愛人のはずで、夫は、ヤバイのではと。


橋場さんて、確か、36とか、37とか。

夫より年上。

美人だけれど、少し、ケバい。


そこで、思い出した。

私に、あなた、シロクロさんねと、言い出したのは橋場さんだった。

身のまわり、ぜーーんぶ、モノトーンねと。


気にもしていなかったけれど。

もしかしたら、夫と橋場さんは、長い付き合いなのかもしれない。








        (つづく)

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