翌週、夫は本当に水曜日は帰宅しなかった。
木曜日、遅刻などしたことのない橋場さんが、1時間遅刻してきたらしく。
女性社員達は、トイレで化粧室で、リフレッシュルームで、ひそひそ騒いでいた。
「みた?! 橋場さん、すごいクマ、、。
ね、だるそうな顔して。
でも、機嫌いいわよ、」
「常務と、昨夜、激しかったのよ。
もしかしたら、朝まで、常務、頑張ったとか、、フフ、、」
それって、一体、何?!
私は、3階には用はなかったけれど、エレベーターで3階で下り、何くわぬ顔で廊下をぶらついた。
秘書室から橋場さんが出てきて。
「あら、モノクロさん、こちらの階に用事?」
「いいえ、あなたの顔を見にきました。」
「あら? まあ? 」
「クマが出来てるとか、聞きましたので。」
橋場さんは、ニコッとして、ぴったり私に体を付けると、小さな声で耳元に囁いた。
「あなたのご主人ですけど、とっても、お強くて。
朝まで、離して下さらなくて。
じゃあね。お仕事、真面目になさい!」
私は、夫も橋場さんも、頭が狂っているのだと。
「あの、常務さんですが。
大丈夫ですか?」
「ご心配なくてよ。常務はプレイボーイ、何人もいるの。
それとね、あなたのご主人は、最高よ、私にとっては、今までの男性の中で最高なの。
あなたのように不感症の女性には理解出来ないでしょうが。」
私は、びっくりした。
夫の事を最高とは。
常務より良いという意味なのか。
そして、不感症って、不感症って、何?
私が不感症ということ?
夫が橋場さんに言ったのかな?
私は、その言葉が、ひどく気になった。
理恵に聞いてみようと思った。
メールをした。理恵に。
私が知らない一般的な事を何でも知っている理恵に。
そして、理恵からの返信を開き、すっかり驚いてしまった。
まさに、私のことだから。
理恵にそのようにメールすると、今夜会いましょうと返信してきた。
私は不感症という病気なのかもしれない。
少し、不安になってしまい。
理恵に会う約束をした。
カギを買わなければならないが、何処で売ってるか、それも、理恵に教えてもらおうと、それが私の悪いところ、チマチマコマコマ面倒なことは投げる。
そして、ついでに理恵に夫の浮気についてもメールしておいた。理恵には何でも話せる。
(つづく)