理恵は、手書きの地図をスマホで写したものを添付してきて、「おたすけばあ」で待っていると、メールを送ってきた。
私は、そのような店は行ったこともなく、机に向かってからもスマホを開き、地図を拡大しながら、マジマジ見る。
銀座5丁目? そのあたりは、ちょくちょく歩いているはずだけれど、
「おたすけばあ」という店は知らない。
ビルとビルの谷間にある、古い店らしく。
まあ、行ってみようと思った。
いつもは、会社の帰りにスーパーかデパ地下で買い物をして、さっさと帰宅して、夕食の準備をするのですが、今日は、する気がしない。
私は、友達は、料理など何も出来ないと思っているようだが、結構、料理好き。
高校生の頃から、自分のお弁当も作ったりしていた。
二十歳の誕生日に、祖母が証券会社に口座を開いてくれて、株取引のノウハウを教えてもらうようになると、大学帰りも、急いで帰宅して、パソコンを開くようになり。
外食より、自分で作った安全なものを食べて、投資に神経を集中していたいようになり。
もともと、多少なりとも、ずれている性分のようで、株取引をするようになり、ずれ方がひどくなったのかもしれない。
友達が、彼氏、彼氏と浮かれていても、私は、異性には、全く興味がなかった。
お金儲けをしたいのではなく、勝負なのだ。
自分の予想があたるか、外れるか。
面白かった。
祖母は株。母はFX。
私は、母が真夜中にパソコンに向かって、チマチマやって、今日は2万、昨日は、1万5千とか言っていたのを、小さな頃から、見ていて。
やるんだったら、祖母のように、3百儲かった、、5千、いった、と、桁が大きい、株取引をしたいと思った。
私も母も祖母も、所謂、投資のセンスが、いや、才能だろうか、血筋的にも、あるのだろう。
私は、大学を卒業する時には、すでに、8千万ほどの余剰金があった。
余剰金とは、つまり、証券会社の口座に、いつでも株を買えるようにプールしてあるお金で。
持っている株を、その時点で現金換算したならば、ゆうに、2億を越えていた。
しかし、そんな私が証券レディーになりたいと願っても、証券会社では、いらないと振ったわけで。
自分の思い通りにならないのが、世の中なのだと、その時、初めて知ったはずで。
多分に、のんきです。
(つづく)