夫と会うことなく、事は順調に進められていたのか、すすっと、離婚出来た。
慰謝料などは、一切、いりません。
車でも、洋服でも、私が買ったなど、関係ありません、あなたのモノですから、全部、持って行って下さい。
夫は、急きょ、シンガポール支店に転勤になったようで。
私は、自分にも責任があったのだろうなぁと、おぼろげに感じていた。
妻に相談出来なかった、自分の両親にも、職場の上司にも相談出来なくて、仕事のストレスの上に、お金の心配も。
理恵は言った。
ある意味で、いずみに対して、男らしくありたい、夫らしくありたいって、考えていたみたい。
月に30万は軽く取られるマンションに、いずみのお陰でタダで住まわせてもらって。
高級車を買ってもらって、スーツもゴルフ道具も、高級品を買ってもらって。
すまない、申し訳ないって、思ってたみたいと。
また、きっと、贖罪の意味っていうか、贖罪の気持ちが、せめて、毎晩、感じない妻を抱くという行為になったんじゃないかなとも言って。
私は、気付くべきだったのだろうか。
夫の苦悩に。
知らない内に出来ていた子供の養育費、そういうのだったら、出してあげたのに。
そして、理恵は少し、怒りを込めて言った。
「私、ママがシングルマザーで育てられたでしょう、、ママは覚悟の上だったから。
その相手の人に、一切、頼らないで、私を育てたのよ。
ママとぶつかった事もあるけど、ママの女としての意地みたいの、立派だと思う。
そう考えると、いずみの旦那に養育費を要求してきた二人の女、変だと思う、なんとなくね、、男が結婚してから、もっさりと要求してきて、なんかさ、私は、そういうの、嫌いだよ。」
私は理恵の話に、なるほど、なるほどと思い。
「おたすけばあ」には、
「離婚に際して、慰謝料等、私は一切いらないが、夫が今後も払っていくべき、二人の養育費について、少し多すぎるかもしれないので、出来れば、減らしてやってほしい。」
と、頼んでおいた。
職場の秘書課にいた、夫の浮気相手の橋場さんが、急に退職した。
次の人への引継ぎも何もなく退職し、女子社員達は、常務と何かあって別れたのだろうと噂していた。
しかし、私は知っていた。橋場さんは、シンガポールに行って、私の元夫と暮らしている。
「おたすけばあ」って何だろう?
(つづく)