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第32話  相性 No.22ー22

     私は、ふと気付いてしまった。

理恵は、私に同情していたのだろうか。


幼稚園の年中の時から大学まで、ずっと仲良しで、私にとっては、唯一の大切な友達の理恵。


理恵がそばにいつもいたから、私は疎外されなかったのだろうか。



 今、職場で、同室の女子社員達に無視されているような事は、学生時代は無かった、はず。


利発で、パパパーンと言いたい事を言って、聡明な理恵が、いつも私のそばにいたから、疎外されなかったのだろうか。


理恵は、同情して、私と仲良くしていてくれたのだろうか。


思い出しても、私が理恵のために何をかを、してあげた事などない。

理恵の快活な話を、うん、うんと聞いていただけで。



こんど、会った時には聞いてみなくちゃ。

もし、そうだったら、私は、これから一生かけて、理恵に恩返ししなければならない。


頭の回転の早い理恵に、どのように気持ちを伝えられるだろうか。



それと、これからは、少し、本を読もう。

先生達が母に言ったという、恋愛小説というものを読んでみよう。

早速、明日は本屋さんに行って、書店員さんに、私に合いそうな恋愛小説を紹介してもらおう。

一般的なお話の本を読んだことが無いのです。恋愛小説でオススメがあったら教えて下さい。そのように話して、選んでもらおう。


優しそうな女性の店員さんを探して、尋ねてみよう。


心のずっと奥の奥に、大介さんへの想いは、隠しておこう。

寂しくて、悲しくて、誰かにそばにいてほしくなった時、そっと、心の奥底から大介さんに出てきてもらおう。



そんな事を真面目に考えていると、理恵から電話がきた。


「いずみ、クリスマス、約束ある?」

「ないよ。」

「良かった。 ね、いずみ、北海道の函館に行かない? 

 イブを函館で過ごさない? 

 大きなツリーが港にあるんだって、それを見るためだけに、沢山の観光客も行くみたい。 


 ね、行こう、、雪の中で、大きなツリーを見て、函館山に二人で登ろう、、、、」


私は二つ返事で行くことにした。


関東より10度は気温が低い、暖かくして、滑らない靴、23日に出掛けて、2泊して帰ってくる。

羽田の第一ターミナルで待ち合わせ。

理恵の話は事務的で要領が良い。

私の家族は喜んだ。やっと出掛ける。

理恵ちゃんに感謝しなければと言った。









        (了)



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