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第33話  ナルシスト No.22ー1

 4月に入社して、5月が無事に過ぎ、6月も、あと3日で終る。

私は、とりあえずの目標、3か月は、じっと頑張ってみるという目標は達成出来ると思っていた。


朝、部課ごとに行われる朝礼が終わって、自分の席について、すぐだった。 課長が隣に立ち、


「杉下さん、明日、札幌へ行って下さい。」


私は、転勤は無い、女子社員については、事務職は出張も無いと聞いていたから、


「えっ?! 出張ですか?」


と、つい口が出た。そんなの当たり前だろうと思う、不思議だから、聞く。


「黙って、行きなさい。 出張じゃない。 転勤だよ。 なんでも、杉下さんは札幌に、お祖母さんがいるね、そこで、とにかく、急な話だからね、

しばらくは、お祖母さんの家においてもらって。

明日、午後1時には、支店に顔出すように。」



周りが騒ぎ出した。

総務部総務課、社内の雑用を一手に引き受けているような部課で。

女性が多い。部長と、それぞれの課の課長は男性だが、主任や係長は、全員、女性。

中でも、私が属している総務課の係長、三田さんは、キツイ。ヤリテと云われている。


「課長! きちんと説明して下さい。

過去に、転勤などありませんでした。何故ですか? 杉下さんが、急に、それも、今、話して、明日には転勤先に顔を出せって!

それって、おかしくないですか。

私は、杉下さんの直属の上司として、承服出来ません。」


そのように言ってくれて。

周りの机を並べている、女子社員達、全員、私にとっては、先輩達だけれど、、周りの人達が、口々に、騒ぎはしたが。


ずっと奥の奥に、パーティションで仕切られた部屋にいるはずの、デップリとしたお腹をした、部長が出てきて。


「上からの命令です。部長の私も、理由は教えてもらえません。 杉下さんには、大変とは思いますが、とりあえずですね、行って下さい。

また、本社には、いずれですね、戻られるとは思いますので。」


それで、話は終了でした。


私は、急いで、三田係長さんも、隣の席の山口さんも、手伝ってくれて。私物の整理をした。


午後2時には、本社を出て、すごい荷物をぶら下げて、家に戻った。


母は一瞬は驚いたけれど、じゃあ、私も行くわと、バタバタと旅行に行くような雰囲気で、用意を始めて。

札幌に、一人で暮らしているのは、母の母。








       (つづく)


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