札幌にいるお祖母ちゃんは、少し苦手。
笑わないのだ。笑った顔を見た記憶がない。
優しい人、つまり、小さい頃から、クリスマスや誕生日や、とても立派なプレゼントをしてくれて。
本当は、優しい人なのだとは思うけれど。
取りつく島もないタイプ。目から鼻に抜けるタイプ。何もかもを、お見通しのタイプ。
80近いけれど、一人で元気に暮らしている。
今まで、学校の夏休みなどに母と長期間、札幌にいたことは、何度もあるけれど。
お祖母ちゃんは、家事が終ると、自分の部屋に入ってしまう。
何をしているのだろう。
読書をしている。読書している事が多い。
時々、パソコンを開いて、すごいスピードで打ち込んでいる。何をしているのだろうかと母に尋ねると、母は、
「お母さんは、無駄な事が嫌いでしょう。だからね、読書も仕事なのよ。
頼まれた本を読んで、感想かな、批評かな、推奨かな、そういう文章を依頼先に送ってるの。」
へえー?!! そうなんだ!
じゃあ、ビーズ手芸は?
「あ、あれね、よく、年よりなのに、あんな細かい手芸できると、私は、不思議なんだけど、、あれも、仕事なの。
お母さんは、もう、何十年も、そうなのよ。」
そうなのよって、? 母と私は似ている。
尻切れとんぼ。
すっかり解らない説明しかしない、
しないのではなく、出来ない。
しっかりした母親だと、娘は、少し抜けるらしい。そこまでは正しいようだが。
少し抜けている母親の娘は、しっかり者になるらしいのだが、私は、当てはまらない。
だいたいが、急に転勤とか言われて、矢の先に、私の頭をよぎったのは、マサルの事。
付き合ってる人。遠距離恋愛になるなあ、私が東京に会いに来るのかなあとか。ぼんやり考えて。
3つ上。入社して、すぐ、声をかけられて、すぐ、そうなった。
週に2回は会って、といっても、3回位は、デートらしき雰囲気で。お茶したり、食事に行ったり、ディズニーランドに行ったり。
その後は、メールが、部屋で待ってるだけになって、マサルの部屋に行くと、なんか、体だけ?って感じで。
でも、今のところは唯一の彼氏。
私は22、マサルは、営業部で、25。
イケメンで、あれも、上手だから。
メールが入ると、なんとなく行ってて。
私には必要だった。一応は。
(つづく)