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第34話  ナルシスト No.22ー2

 札幌にいるお祖母ちゃんは、少し苦手。

笑わないのだ。笑った顔を見た記憶がない。

優しい人、つまり、小さい頃から、クリスマスや誕生日や、とても立派なプレゼントをしてくれて。

本当は、優しい人なのだとは思うけれど。


取りつく島もないタイプ。目から鼻に抜けるタイプ。何もかもを、お見通しのタイプ。


80近いけれど、一人で元気に暮らしている。

今まで、学校の夏休みなどに母と長期間、札幌にいたことは、何度もあるけれど。

お祖母ちゃんは、家事が終ると、自分の部屋に入ってしまう。

何をしているのだろう。

読書をしている。読書している事が多い。

時々、パソコンを開いて、すごいスピードで打ち込んでいる。何をしているのだろうかと母に尋ねると、母は、


「お母さんは、無駄な事が嫌いでしょう。だからね、読書も仕事なのよ。

頼まれた本を読んで、感想かな、批評かな、推奨かな、そういう文章を依頼先に送ってるの。」


へえー?!! そうなんだ!

じゃあ、ビーズ手芸は?


「あ、あれね、よく、年よりなのに、あんな細かい手芸できると、私は、不思議なんだけど、、あれも、仕事なの。

お母さんは、もう、何十年も、そうなのよ。」



そうなのよって、? 母と私は似ている。

尻切れとんぼ。

すっかり解らない説明しかしない、

しないのではなく、出来ない。


しっかりした母親だと、娘は、少し抜けるらしい。そこまでは正しいようだが。

少し抜けている母親の娘は、しっかり者になるらしいのだが、私は、当てはまらない。



だいたいが、急に転勤とか言われて、矢の先に、私の頭をよぎったのは、マサルの事。

付き合ってる人。遠距離恋愛になるなあ、私が東京に会いに来るのかなあとか。ぼんやり考えて。

3つ上。入社して、すぐ、声をかけられて、すぐ、そうなった。

週に2回は会って、といっても、3回位は、デートらしき雰囲気で。お茶したり、食事に行ったり、ディズニーランドに行ったり。


その後は、メールが、部屋で待ってるだけになって、マサルの部屋に行くと、なんか、体だけ?って感じで。

でも、今のところは唯一の彼氏。

私は22、マサルは、営業部で、25。

イケメンで、あれも、上手だから。

メールが入ると、なんとなく行ってて。

私には必要だった。一応は。









      (つづく)

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