「お祖母ちゃん、しばらくの間、宜しくお願いします。」
「いつまでもいなさい。 さあ、尚の好物だけ用意したから、食べて。 」
うがいをして、手をきつい消毒用の固形石鹸で洗って、食卓に向かう。
お祖母ちゃんのところは、外部の菌を家の中に入れない工夫が、とても、うるさくて、マンションに移っても、それは同じで。
玄関の前には、消毒用マットが敷かれているし。
お祖母ちゃんは、体裁ではなくて、実用、清潔、それを第一としているみたいで。
お祖父ちゃんが生きていた時は、私には、そんな事、どうでもいいのにと思うような事で、二人で言い合っていた、ちょくちょく。
お寿司も、ザンギも、ウドの酢味噌和えも、すごく、すごく美味しくて、黙々と食べていたのが、
「尚、あんたを、転勤させたのは私だよ。
尚は、あんな、下劣な男に抱かれていただろう、別れさせなくちゃならないからね。
フチガミマサル、あの男、ナルシシストだね。」
私は、のどがつまりそうになり、胸が苦しくなり、お祖母ちゃんが渡してくれた水を飲んだ。
「あ、あ、、びっくりしたー、、
なんで、なんで、お祖母ちゃんが知ってるの?
で、でね、お祖母ちゃん、ナルシシストじゃなくて、ナルシストでしょう。」
「まあ、説明するには長くかかるよ。
フチガミマサルについては、何人かの女性が訴えていたんだよ、騙されたってね。
調べていて、お前が、杉下尚がちょくちょく、フチガミマサルの部屋に通っていると、写真付きで、私の孫娘じゃないかってね。
私の子は、尚のお母さん一人だから、嫁ぎ先は杉下だと、知ってる人は知ってるからさ。
好いて、体の関係があって、女の方から、頻繁に通っているとなると、別れなさいと言っても、反って、燃え上がらせるだろう。
で、お前をこっちに呼んだ。
フチガミマサルは、自分ほど良い男はいないだろうと勘違いしてるようだ。
本社の総務で、尚の上司の女性で三田さんていたろう。
鶴のように痩せてる女性、あの人は土曜は、決まって、フチガミマサルの部屋に泊まってたよ。
まあ、彼女は、36になるから、小遣いでもせびる相手だったんだろうけど。」
私は、えー?! はあー?!? なんで!
それって! 私は何だったの? 三田係長も、
マサルが抱いてたの? 10才以上年上じゃん、、
ヒモみたい。
(つづく)