もしかして、お祖母ちゃんは、認知症?
だって、おたすけばあとか、まるで、おとぎ話みたいな事。
でも、マサルがナルシストなのは事実。
自分の裸にも、見惚れていた、いつも鏡に映る自分の姿を、うっとりして見ていたから。
それと、私に、なるべく長く、派遣会社にいるようにしろって。
派遣会社は、子会社になって、社長は男性のはずだけれど、札幌支店の支店長は、女性のはず。
そんなの、お祖母ちゃんが知ってるはずないのに、私に、その支店長の女性、マエハシカエデを調べて欲しいって。
調べるって、どのように?
何を調べるのか、方法も、解らないし。
お祖母ちゃんは、まるで、あきれ果てたというような顔で見ていて。
「尚、お前さんは私の孫だよ。
少し、頭を使って考えなさい!
いいかい?
マエハシカエデもナルシシストなんだよ。
自分だけが素晴らしいらしい。
で、壊し屋みたいだ。
そういうヤカラは許せないからね、強いオキュウをすえるつもりだよ。
その前に、訴えが事実かどうか、徹底的に調べる。
それを、手伝いなさい。
追い追い、説明する。
今夜は、もう寝るよ。
私は午後10時には、蒲団に入る。
尚、門限は10時だからね。」
はあー?!
それは無理、絶対、無理と、騒いだけれど、お祖母ちゃんは、却下した。
それに、お祖母ちゃんは頑固で、何回指摘しても、ナルシストと直さないで
ナルシシストと言う。頑固者のお祖母ちゃん。
そんなんじゃ、新しい彼氏が出来ても、無理でしょう。
お祖母ちゃんは、よく、そこまで、ハッキリ言えるものだと、私の方が恥ずかしくなるような。
「尚、男が必要なのかい?
もう、味を知ったのかい?
どうなんだい?」
そんな事、答えられないし。
お祖母ちゃんの恐ろしさだと思った。
あまりにも、直截的にズバッと聞かれたら、恥ずかしくて、退くしかないもの。
味って? 必要って?
私は、ただ、彼氏がいないより、いた方が、楽しい、、それだけ、なんだけれど。
一人で食事に行くより、素敵な彼氏と一緒がいいし。
で、そのあとに、ゴージャスなホテルへ行けたら、もっと、楽しい。
ただ、それだけなのに。
10時が門限なんて、それは、ない、絶対、無い。
明日は、母に頼んでもらおう。
私は、もう少しで、23になる大人なんだもの。
(つづく)