実地研修、私達はユニフォームを渡され、男女共に、着用しなければならないようだった。
男子は濃紺のスーツにブルーのいかにも安っぽいタイ、それでも女子に比べたらマシ。
女子のユニフォームは、ダサい極みだったから、みんな、第一声は、いやだー!だった。
グリーンの、それも、超田舎くさいグリーンで、キュロットスーツ、ダブダブの。
私は、泣き出したくなった。
佐々木さんの話では、マエハシカエデの考えは、添乗員は黒子にならなければならない、お客様を引き立てなければならない、だから、敢えて、ダサくしたらしい。
ついでに、派遣会社の方の女子社員には美人はいない、マエハシカエデが、自分を目立たさせる為には、ブスを揃えたとか。
男性社員は、営業専門で3人いるが、3人ともに、マエハシカエデのお手付きとか。
何だろ、一体?
しかし、私は、添乗員の資格を取らなければならないようで、仕方なく、実地研修の日は、そのダブダブのユニフォームを着て、集合場所になっている、札幌駅の北口に立った。
マエハシカエデは、余りに若作りが過ぎると感じた。
それは、その日、同じバスに乗る研修メンバーの女性が皆、口を揃えた。
ツケマツゲはないよねー!
ミニタイトのピチピチのスーツはないわ!
バスの中では、真ん中の席、通路側に座り、きれいなんだか、長いと自負しているのか、脚を組み。
それ、ちょっとないわ!
あれ、ちょっと、間違うと見えちゃうんじゃない?
佐々木さんから聞いた、噂か真実かの話では、ツアーに、後学の為とか、研修生の採点の為とかの口実で同行する時って、必ず、お目当てがあるとか。
年下でも、年上でも、後腐れないと見た男性と、一夜を共にするとか。
本当かな?
私は、ツアーのお客さまを一人一人、観察して、、ピンと来なかった。
みんな、真面目で、野太くて、真剣な雰囲気だったから。
マエハシカエデは、野性的な男性が好みみたい、見た目がイケメンとかじゃないみたい。
ベッドの中が第一みたいよ。
それって、どうやって解るのだろう。
佐々木さんから、お茶しながら、その話を聞いて、すると、すると、マエハシカエデさんは、一体、何人の男性を知ってるのだろうかと。
少し、羨ましくもなった。
私は、初めての人から、マサルまで、3人だけだから。
(つづく)