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第12話 底辺テイマーは捕まる

 ボス猿は俺の突進を見ても、余裕の態度だった。

 それもそのはずだ、俺が武器を持っていないからだ。

 ボス猿はのんびりと棍棒を手に持って、振りかぶった。

 チャンスは一回切りだ。

 俺は棍棒を盾で受けると同時に盾を捨てると、ボス猿の背中にとりついた。

 ボス猿は俺を引っぺがそうと暴れるが、俺は必死に毛を掴み、足を胴に絡めて押し倒すと、背中に噛みつくと、ボス猿は悲鳴を上げる。

 猿を押し倒して背中を噛む行為は服従を促す行為だ。

 この状態で、俺は手の平に契約紋を浮かび上がらせると、ボス猿に押しつけると、青い紋様はボス猿の身体に吸い込まれた。

 俺とボス猿の意識の線が繋がった。

 この魔柿猿たちは山で俺達と出会った群れとは別の群れだった。

 魔柿猿たちが街を襲った理由を聞いてみると、どうやらこの街の人間が魔柿を乱獲した上に、魔柿猿たちを遊びで襲っていたらしいのだ。

 俺はボス猿から離れると、ボス猿は俺の方を見た。

 俺の目の前におとなしく座っているボス猿の頭を撫でてから、命令した。


「もう、街の連中も思い知っただろう。群れを率いて、山に帰るんだ」


 ボス猿は大きな鳴き声を上げると、山へ向かって走っていった。

 これで、一安心だ。

 そう思ったとき、地面に押さえつけられて、右手を後ろ手に拘束されてしまった。


「お前があの猿どもを操っていた張本人か!」

「違う!」

「嘘をつくな! お前があのデカい猿に命令しているのを、俺はこの目ではっきり見たんだ。何の為にこんなことをした!」


 どうやら俺がボス猿をテイムした後の俺達を、見ていたらしい。

 確かにあそこだけを見れば、俺がボス猿を操ってこの騒動を引き起こしたように見える。

 しかし、話せば誤解だとわかるはずだ。


「ワタシのマックスに何をするの!!」

「止めろ! シェリル。手を出すな!」

「なんでよ!」

「いいから、止めろ。話せば誤解は解けるはずだ。おとなしくしておいてくれ」


 そうして俺達は逮捕されてしまった。


~*~*~


 俺は牢に閉じ込められてた。

 シェリルもおとなしく捕まったのだが、別々の牢に閉じ込められてた。

 その牢には俺だけではなく、他にも捕まっている人がいた。

 軽薄そうな背の低い男は座り込んだまま、ニヤニヤ笑いながら俺に話しかけてきた。


「よう、兄ちゃん。なにやったんだ?」

「何もやってない。勘違いで捕まったんだ」

「そうか、そりゃ、残念だったな。ところで、お前さん、金持ってるか?」


 男は手でお金のジェスチャーをした。

 なんで、急に金の話になる。なんか信用できない男だな。


「ああ、警戒しなくていいよ。ここから出たけりゃ、金を積むしかないんだよ。金のない奴は、犯罪をしてもおかしくない。金を持ってる奴は犯罪する必要が無いから、犯罪をしない。だから、金を払える奴は犯罪者じゃないって、むちゃくちゃな考えだよな。笑えるよな、この街は」

「ああ、そうなんだ。ちなみにどのくらい払えば良いんだ?」


 幸いなことにシェリルのダンジョンから持ってきた金はまだ、結構ある。

 しかし、これからの生活や、腕を治して貰う金もいるだろう。そもそも、街を助けたのに捕まったこと自体、納得がいかない。しかし、最悪のことを考えなければいけないだろう。


「なにをやらかしたんだ? やらかした事の大きさによるよ」


 俺は魔柿猿が街を襲ったところから、俺が捕まったところまでかいつまんで話をした。

 俺の話をじっと聞いていた男は口を開いた。


「つまり、お前さんは猿どもを使ってこの街を襲撃した首謀者になっているって言うことか? 思ったより大物だな。そりゃ~街一個買えるくらいの金がいるな。ちなみにそれだけの金は持っているか?」

「あるわけないだろう、こっちは底辺冒険者だぞ」

「そうだよな。じゃあ、諦めろ。殺されなければ御の字だな」

「どうにかならないのか? 仲間も捕まっているんだ」

「そんなの、俺が知るかよ。まあ、せいぜいあがいてくれたまえ」


 それだけ言うと、男は冷たい石畳にごろりと横になった。

 なんと無責任な男だろうかと思ったが、事前に情報が入っただけマシかもしれないと思い直した。

 シェリルが、やすやすと殺されるわけはないと思うが、問題は俺だ。そして、俺が殺された後、シェリルは我を忘れて暴れるかもしれない。それはまずい。長い間ダンジョンの檻に閉じ込められて、せっかく外に出たというのに、たった数日で人間つけ狙われるなんてかわいそうだ。どうにか、手を考えなければいけない。

 俺は狭い牢の中をうろうろしながら考えていると、看守がやって来た。

 どうやらこれから、取り調べが始まるようだった。

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