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第13話 底辺テイマーは拷問に遭う

 そこは取り調べ室なのか、拷問部屋なのか俺には区別がつかなかった。

 陽の光も入らない薄暗い石壁で囲まれた部屋。入口はカギ付きの厚い扉が一つ。どんなに叫び声をあげても外に聞こえないだろう。

 そんな部屋の壁に俺ははりつけにされた。壁に腹をつけるようにして右手と両足を鎖につながれる。

 俺は首を後ろにねじり、部屋の様子をうかがうと、頭からすっぽりと布を覆った人間が二人現れた。

 ひとりの手には、馬に使うような鞭を持っていた。


「お前はなぜ、この街を襲った。どこの差し金だ」

「俺は街を襲ったんじゃない。街を救ったんだ」


 鞭が床を叩く音が部屋に響く。


「正直に言わないと、床ではなくお前の背中でこの音を響かせることになるが、それでもいいか?」

「正直に言っている。俺は街を襲ってきた猿のボスをテイムして、山に帰らせたんだよ。あいつらは街の連中に魔柿を奪われた上に、意味も無く攻撃されたから怒っただけだ。ヴァッ!」


 鞭で俺の背中が叩かれた。鋭い痛みの後、叩かれたところが熱くなる。


「嘘をつくな。あんな猿どもになんの知恵があるというのだ。お前があの猿どもを操って街を襲わせたのだろう」

「何の為に俺がそんな事をする必要があるんだ」

「その理由を聞いているのは私だ!!」


 そう言うと、また俺の背中に鞭を打った。

 服が裂け、肌がヒリヒリする。たった二発だけで、痛みが脳を貫く。

 脂汗がじわりとにじむ。


「違うんだ。俺の話を聞いてくれ」

「うるさい! お前は私の望む答えを吐けば良いだけだ!」


 そう言って、俺は力任せに鞭を何度も打たれた。

 あまりの痛さに、吐く息はうめき声しか出ず、必死で息を吸う。

 絶え間ない痛みに頭がおかしくなりそうだった。この痛みから逃れらるなら、死んだ方がマシだと思うくらいに。


「何をしてるんだ! 私の領地でこんな野蛮なことは許さないぞ!」


 扉が開けられる音と同時に、張りのある若い男の声が部屋に響いた。


「これはオックスフォード様。いや、これは……」

「言い訳は無用だ。今すぐ、その男性を解放したまえ」


 俺は背中越しに、男達のやりとりを聞きながら、これでこの痛みから、解放されるのかと思い、気が抜けた途端、意識を失った。


~*~*~


 次に俺が目を覚ましたとき、ふかふかなベッドに清潔なシーツの上にいた。

 そしてベッドの隣でシェリルアが心配そうに、俺の右手を握っていてくれたのだった。


「シェリル……」

「良かった。大丈夫?」


 俺は上半身を起こすと、背中に痛みが走ったが、どうやら薬を塗られているようで包帯を巻いていた。

 心配そうに涙を浮かべるシェリルの頭を優しく撫でた。


「ああ、なんとか……ごめんな。心配をかけて。それより、シェリルは大丈夫だったか?」

「ええ、ずっと檻に閉じ込められていただけで、いつ抜け出そうか考えてたら、解放されて、ここに連れてこられたの」

「そうか。シェリルが無事で良かった。それで、ここはどこなんだ?」


 壁には大きな絵が飾られて、装飾の施された椅子やベッドの家具。床は毛の高い絨毯が引き詰められており、警察どころか、普通の家でもない様子だった。

 薄汚れたシーツのかかった固くきしむベッドでしか寝たことのない俺は、ちょっと居心地が悪かった。


「ここは、あの男の家みたいよ」

「あの男って?」


 俺がシェリルにそう、尋ねたとき、ドアが開かれた。


「目覚めたようだね」

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