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第7話 古代都市と厄災の兵器の再封印

翌朝、25人の大調査隊は永劫の迷宮に向かった


これまでで最大規模の探索となった


「第31階層に到達しました」

アルバートが地図に記録していた


「ここからが未踏領域だ」

レオンが警戒しながら言った

「気を引き締めよう」


第35階層では、巨大なキマイラが待ち受けていた


ヒュドラに匹敵する強敵だったが、最強3豪傑を中心とした連携により、30分で撃破した


「さすがだな」

ライラが感心した

「君たちの成長は目覚ましい」


「これも仲間がいるからこそだ」

ドラコが珍しく素直に答えた


第40階層では古代ドラゴンが襲いかかってきた


しかし、ドラコの竜族としての知識とアルバートの魔法、そして全員の協力により、これも撃破した


「あと10階層だ」

モノが励ました

「もう少しで古代遺跡に到達する」


第45階層では、謎の魔法生物の群れと遭遇したが、ライラの古代魔法の知識により効果的に対処できた


そして、ついに第50階層に到達した瞬間、冒険者たちは息を飲んだ


・・・・・


「これは・・・一体・・・」

ガレスが呟いた


眼前に広がっていたのは、想像を絶する光景だった

地下とは思えないほど広大な空間に、見たこともない平たい建物や、何層にも重なる巨大な塔のような建造物が所狭しと立ち並んでいた


「まるで別世界だ・・・」

マリアが驚愕した


建物の表面は滑らかで、金属のような光沢を放っている


空中には光る球体が浮かんでおり、街全体を柔らかく照らしていた


「古代文明って、こんなに進んでいたのか?」

レオンが信じられない様子で言った


ライラとアルバートも驚いていた


「文献には『高度な技術』とあったけど、まさかここまでとは・・・」

ライラが息を飲んだ


「これは我々の想像を遥かに超えている」

アルバートも同感だった


ドラコが前方を指差した

「あれを見ろ」


街の中央には、山のような巨大な建造物がそびえ立っていた・・・


他の建物とは明らかに異なる威圧的な存在感を放っている


「古代文書によると、あの建物に忌わしき兵器が封印されているはずだ」

アルバートが確認した


「よし、目標が決まった」

モノが指揮を取った

「全員、あの建物を目指すぞ」


・・・・・


街に足を踏み入れると、さらに驚きの光景が待っていた

街の中を、人間のような形をした鉄の塊が歩き回っているのだ


「あれは・・・何だ?」

ガレスが剣に手をかけた


「生き物・・・ではないようですね」

エリナが観察した


鉄の塊は二足歩行し、明らかに知性的な動きを見せていた

しかし、冒険者たちに気づいても攻撃してくることはない

むしろ、道を譲るような仕草を見せるものもいた


「ロボット・・・」

アルバートが小声で呟いた


「何だって?」

レオンが聞き返した


「いや、古代文字にそんな単語があった気がするんだ『人工の従者』という意味だったかな」


一体のロボットが近づいてきた、冒険者たちは身構えたが、ロボットは丁寧にお辞儀をして、道案内をするような仕草を見せた


「どうやら敵意はないようだな」

ドラコが警戒を解いた


「でも不気味だ」

マリアが呟いた


「古代人が作った従者なのかもしれません」

ライラが推測した

「今でも主人の帰りを待っているのかも」


冒険者たちは警戒しながらも、ロボットたちを無視して中央の巨大建造物に向かった


ロボットたちは邪魔することなく、むしろ道を空けてくれた


・・・・・


巨大建造物の前に到着すると、さらに奇妙なことが起こった


「待っていました・・・」

突然、建物の扉が音もなく開いた、そして、中から声が聞こえてきた


「誰だ!?」

ドラコが身構えた


扉の向こうから現れたのは、女性の形をした金属製の人形だった

しかし、先ほどのロボットたちとは明らかに異なる精巧さを持っていた


顔は人間の女性そのもので、動きも滑らかで自然だった


「皆様、ようこそ古代都市アルカディアへ」

人形は流暢に話した

「私はこの施設の管理者、セラフィムと申します」


冒険者たちは唖然とした


「管理者・・・ですって?」

エリナが驚いた


「はい」

セラフィムは微笑んだ

「千年もの間、皆様の到来をお待ちしておりました」


「千年も・・・」

レオンが呟いた


「皆様は封印の確認にいらしたのですね」

セラフィムは続けた

「どうぞ、中へお入りください、ご案内いたします」


ライラが警戒しながら尋ねた

「あなたは一体何者なの?古代人が作った?」


「はい、そう言えるでしょう」

セラフィムが頷いた


「私は最後の古代人たちによって作られ、この施設と封印の管理を任されております」


アルバートが興味深そうに聞いた

「古代人は・・・どうなったんですか?」


セラフィムの表情が少し悲しげになった

「彼らは災厄の兵器によって滅びました、私は彼らの意志を継ぎ、封印を守り続けているのです」


モノが口を開いた

「それで、封印の状況は?」


「それについてご説明いたします」

セラフィムは建物の中を指した

「どうぞ、こちらへ」


冒険者たちは顔を見合わせた、罠の可能性もあったが、古代文明の謎を解くには彼女の案内が必要だった


「行こう」

レオンが決断した

「ただし、警戒は怠らない」


「承知いたしました」

セラフィムは理解を示した

「皆様の警戒心は当然です、私も同じ立場なら同様に行動するでしょう」


こうして、25人の冒険者たちは謎の案内人セラフィムに導かれ、古代都市の中枢施設へと足を踏み入れた


果たして、千年間守られてきた封印の真実とは何なのか・・・そして、災厄の兵器は本当に封じられているのか


物語は、古代文明の最大の秘密に迫ろうとしていた


・・・・・


セラフィムに案内され、冒険者たちは巨大建造物の内部を進んだ

内部もまた、外観と同様に想像を絶する光景だった


「これは・・・」

アルバートが魅了されていた


壁面には光る文字が流れ、空中に立体的な映像が浮かんでいた

床は透明な素材でできており、その下には複雑な機械が動いているのが見えた


「古代人の技術は我々の理解を遥かに超えていますね」

ライラが感嘆した


「この建物自体が、巨大な魔法装置のようなものです」

セラフィムが説明した


「封印を維持するために設計されています」

エレベーターのような装置で上層部に向かいながら


セラフィムが歴史を語った

「古代アルカディア文明は、魔法と技術を融合させた高度な社会でした・・・しかし、その技術力が仇となったのです」


「災厄の兵器とは、具体的にはどのようなものなのですか?」

エリナが尋ねた


セラフィムの表情が暗くなった


「『ワールドエンド』と呼ばれた究極兵器で・・・一度発動すれば、大陸全体を消滅させる力を持っていました」


冒険者たちは息を飲んだ

「そんなものを、なぜ作ったんだ?」


ドラコが憤った

「当初は防衛目的でした」


セラフィムは悲しそうに答えた

「しかし、制御システムに異常が生じ、暴走したのです・・・古代人たちは自らの文明を犠牲にして、それを封印しました」


「その封印が、今弱くなっているということなのか?」

モノが確認した


「はい」

セラフィムが頷いた


「あと数十年で完全に失効します・・・そこで、皆様のような勇者の到来をお待ちしていたのです」


ついに、最上階の封印の間に到着した


そこには、想像を絶する光景が待っていた


・・・・・


封印の間は巨大な円形の空間で、中央には光る球体が浮かんでいた

その周りを複雑な魔法陣が取り囲んでいる


「これが災厄の兵器『ワールドエンド』の封印です」

セラフィムが説明した


「しかし、封印を強化するには、まず三つの試練をクリアしていただく必要があります」


「古代文書にあった試練ですね」

アルバートが確認した


「はい。知恵の試練、勇気の試練、心の試練です」

セラフィムが頷いた

「これらは単独では突破できません・・・真の協力が必要なのです」


突然、空間に光の粒子が舞い踊り、立体的な映像が現れた


「ホログラム・・・」

ライラが驚嘆した


「では、最初の試練を始めます」

セラフィムが宣言した


・・・・・


最初に現れたホログラムは・・・ある村の映像だった


村は疫病に襲われ、人々が苦しんでいる


「この村を疫病から救ってください」

セラフィムの声が響いた

「ただし、使える資源は限られています」


映像の中で、冒険者たちは村の住民として配置された

治療薬の材料は不足し、医師も足りない


時間も限られている


「確かに一人では解決できない問題だ」

モノが気づいた

「みんなの専門知識を組み合わせる必要があるな・・・」


「どうする?」

レオンが仲間を見回した


「まず情報を整理しよう」

アルバートが提案した

「疫病の症状と、使える資源を把握するんだ」


ライラが古代魔法の知識を活用し、エリナが治癒魔法で対処法を考える


ドラコとガレス、マリアは物資の調達と配布を担当した


25人全員が役割分担し、それぞれの能力を最大限に活用した


魔法使いは治療薬の調合を、戦士たちは物資の運搬を、学者たちは疫病の原因究明を担当した


「協力すれば、不可能も可能になる」

ガレスが実感した


ついに村は疫病から救われ『知恵の試練』は突破された


・・・・・


二つ目のホログラムは・・・巨大な迷路だった、そして、迷路の奥からは恐ろしい咆哮が響いてくる


「迷路の奥に閉じ込められた人々を救出してください」

セラフィムが説明した

「しかし、迷路の主である古代ドラゴンが待ち受けています」


これまでで最も困難な状況だった・・・迷路は複雑で、しかも時間が経つにつれて構造が変化していく


「これは一筋縄では行かないな」

ドラコが唸った


「でも、諦めるわけにはいかない」

マリアが決意を固めた


レオンが指揮を取った

「恐怖に負けず、みんなで立ち向かおう!!!一人一人は小さな力でも、25人が心を合わせれば巨大な力になる」


古代ドラゴンとの戦いは熾烈を極めた・・・しかし、誰一人として逃げ出すことなく、全員が勇気を振り絞って戦った


「みんな、後ろにいる人々のことを思い出せ!」

エリナが叫んだ


「俺たちには守るべきものがある!」

ドラコも吼えた


最終的に、全員の連携攻撃により古代ドラゴンを撃破し、人々を救出した・・・『勇気の試練』もクリアされた


・・・・・


最後の試練は、最も辛いものだった・・・ホログラムが映し出したのは、それぞれの冒険者にとって最も辛い記憶だった


ドラコには姉セレナの死の場面が・・・


ガレスには仲間を失った過去が・・・


マリアには故郷を襲った災害の記憶が現れた・・・


「これは・・・」

ライラも動揺していた


絶望的な映像を見せられ、冒険者たちは心を折られそうになった


しかし、その時、仲間たちの支えが力となった


「ドラコ、君は一人じゃない」

レオンが肩を叩いた


「過去の失敗に縛られる必要はないわ」

エリナがガレスを励ました


「辛い時こそ、仲間がいるじゃない」


25人が互いを支え合い、絶望を希望に変えていく

一人では立ち直れない心の傷も、仲間と一緒なら乗り越えられる


「俺たちは一心同体だ」

モノが宣言した


「そうですね」

アルバートも同意した

「一人の痛みは皆の痛み、一人の喜びは皆の喜び」


・・・・『心の試練』もクリアされた瞬間、セラフィムが現れた


「素晴らしい」

彼女は感動していた

「皆さんは“真の協力”を証明されました・・・これで封印の強化が可能です」


・・・・・


セラフィムの案内で、冒険者たちは封印の儀式に参加した

25人全員が手を繋ぎ、魔力を込めることで『ワールドエンド』の封印は完全に強化された


「これで向こう千年は安全です」

セラフィムが安堵した

「災厄の兵器は、もう誰にも手を出される心配はありません」


「ありがとう、セラフィム」

レオンが感謝した


「いえ、お礼を言うのは私の方です」

セラフィムが微笑んだ

「皆さんのおかげで、私の使命も果たせました」


「これからどうするんですか?」

エリナが尋ねた


「古代都市アルカディアの管理を続けます」

セラフィムが答えた


「そして、皆さんには自由にダンジョンを楽しんでいただきたい・・・『アルカディア』は冒険者たちに開放いたします」


その瞬間、光に包まれた冒険者たちは一瞬でダンジョンの入り口に戻っていた


「何だこれは!?」

ドラコが驚愕した


「瞬間移動・・・古代技術おそるべしだな」

アルバートが呟いた


しかし、彼らの驚きはそれだけでは終わらなかった

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