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1-3

彼は車の近くで探し、雪久は少し範囲を広げて彼女を探す。

手元の写真に映る女性はにっこりとした笑顔だ。

雪久は先ほど見た彼女の姿を思い出す。着物姿で街中にいればすぐにわかるだろう。

帽子を少し目深にかぶり陽射しをさえぎると道行く人を観察した。

彼女と同じ年頃の女はいるものの目当ての人物ではない。

雪久は歩き出すと女たちが入っていく店へと入った。

店の中は若い女で溢れており、雪久に視線を向けるとひそひそと話をし始める。

雪久は軽く帽子を浮かせて会釈をし彼女を探す。眺めるように店内を調べるともう一度会釈して店を出た。

何度かそのように店に入り彼女を探すが見当たらない。

一度天宮と合流して情報を共有する。そしてもう一度探し始めると街角の喫茶店が目に入った。

雪久は喫茶店に入り中をぐるりと確認する。奥の小さな席に今流行のパフェをつついている女の姿がある。

雪久はふっと笑うと彼女の傍に歩みよった。

『お嬢さん、天宮くんが探しているよ。』

スプーンを片手に固まった女は写真の彼女だ。しかし少し写真よりもふくよかに見える。

『ああ、もう見つかってしまったの?ふう。』

彼女はスプーンを止めることなく食べ続けると勘定を済ませてから雪久の前に立った。

『ごめんなさい。行きましょう。』

店を出て天宮の待つ場所へいく。天宮は二人を見つけると情けない顔をして笑った。

『ああ、お嬢様!何をしてるんですか!』

『悪かったわ。パフェが食べたくなったのよ。あなたに言っても連れて行ってはもらえないから。』

『そんなことはありません!天宮はいつでもお供します。』

天宮の隣に立っていたお嬢様は雪久を見上げると深く頭を下げた。

『ご迷惑をおかけしました、わたくし近田雪江ちかだゆきえと申します。』

雪久も会釈して名乗ると雪江が目を見開いた。

『聞いたことある名前…どこで聞いたかしら。』

『いえ、初対面です。ではこれで。』

二人と別れて雪久は家路に着く。

歩きながら雪江の顔を思い返したが心当たりはなかった。

『あ。』

内ポケットに仕舞っていた彼女の写真が指に触れて声を上げる。

『返すのを忘れてしまった。』

胸から煙草を取り出し火をつけるとポカリとふかした。

まあ、次に会う機会があれば…。雪久は指で挟んだ煙草の灰を落とした。

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