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第2話 生まれからお話し致しましょうか。

 秋と冬のちょうど境目あたり、初雪と呼ばれるみぞれが降った夕方あたりに、私は生まれました。母方の一族待望の可愛いかわいい女の子でした。


 意識朦朧としている母上に代わりお祖母様が先に私を見たらしいのですが、まさに『清らなる玉の男御子』だったそうです。ん?それだと男ですって?そんな堅いこと、おっしゃらずに……。


その日は母方の一族の法事があったそうで、お祖父様が親戚一同……そうね、二十人くらいかしら、そんな大所帯で出産直後の母上と私を見に来たそうです。後に母上がお怒りになったことは、言うまでもないですわね。


このあたり……二歳までの記憶は殆んど無いので、聞いた話になりますが……。あら?それは当然ですって?一歳のときの記憶は少しはありますのよ?


 水が怖くて暴れているにも関わらず、プールに入れられた事とか、母上の実家にいた猫とか、それなりに覚えていますよ。


 聞いた話だと、もう十カ月になる頃に一人で歩いていたそうな。目が離せなくてヒヤヒヤですね。


 あとは、母乳や育児用ミルクをあまり飲まなかったことや、手づかみ食べを殆んどしなかったこととか、今とさほど変わらない話も聞きました。


あまり食べない小さな生き物と二人きりだった母上の心労は、察するに余りありますが、このあたりで既に母上は周りの人間とズレてきたのだと思われます。

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