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神に祈って踊れ!

「次はどうする?」


 四次クラスになるにはレベル40ぐらい必要だ。まだレベル上げが必要なんだが……何か忘れてませんかね?


「なあ、俺まだ大道芸人なんだけど」


 そう、ピエロギルドが存在しないのでクラスアップ出来ていないのだ!


「そうだ、ソウタのクラスアップをしに行こう」


「それいいね! 私も祭壇見てみたい」


 というわけで、クラス認定の祭壇を目指す事になった。


「ところで祭壇で好きなクラスになれるって、どうやって好きなクラスを選ぶんだぁ?」


 確かに気になる。


「それは行ってみてのお楽しみさ」


 詐欺師が何か企んでそうな笑顔を見せた。これは何かあるな、それも俺が嫌がりそうなやつが。




 祭壇は町から少し離れた森の中にあるそうだ。モンスターもいるというが、何のクラスにもついてないエルフがいけるぐらいだからそんなに危険ではないだろう。ライアンとクララちゃんもいるしな!


 はいはいフラグフラグ。


「森にはどんなモンスターが出るんだぁ?」


「ゼリーだね」


 ゼリー……もうその名前だけで予想がつく。


「プリンが透明になったようなやつ?」


「そうだ。強さもプリンと大して変わらない」


 俺の質問に答えたのはライアンだった。予想通りなのは良いんだが、何でその形状なんだよ。


「ゼリーのユニークモンスターとかいるのかぁ?」


 大事な情報だな。プルプル感MAXのこんにゃくゼリーとかいるかもしれない。


「クラッシュタイプとか言うのがうろついてるみたい。でも見た目がかなり違うよ」


 子供やお年寄りも安心だな!


……もうモンスターに疑問を持つのはやめておこう。




 森に入ると、途端に森林特有の爽やかというか落ち着く匂いが鼻孔をくすぐる。フトンなんたら(※フィトンチッドです)とかいうのが飛んでるってテレビで見た。


 布団が飛んでるってヤバいな?


 そして聞こえてくる野鳥の鳴き声。遺跡では甲高い鳴き声だったが今回はフクロウ系で攻めて来た。


「祭壇はどこにあるんだ?」


「すぐそこだよ」


 本当にすぐそこだった。大方の予想を裏切って何のトラブルもなく簡単に辿り着いてしまった。


 いや、それでいいんだけど。


「クラスの選び方は親切にもそこの石板に書いてあるよ。読んでみるといい」


 読めって言われても……普通に日本語で書いてあった。しかも現代語だ。本当にここは異世界か?


――なりたいクラスを頭に思い浮かべながら、以下の儀式を行え。


 頭に思い浮かべるだけで良いのか。さすが神様。



・まず服を脱ぎます。



「おいちょっと待て!」


「装備を外すって事だよ。全裸になる必要は無い」


 雄峰が補足した。ああ、確かにゲームで転職する時は装備を外すのが定番だな。まったく、紛らわしい書き方しやがって。



・なりたいクラスのジョブに対応した踊りを踊ります。動きは自由。

 闘士……剣舞

 騎士……社交ダンス

 魔術師……フォークダンス

 司教……クラシックバレエ

 狩人……サルサ

 盗賊……ブレイクダンス

 ピエロ……オタ芸(※アイドルのコンサートでファンが行う踊りらしい)


「おいこら! なんだよオタ芸って!!」


 笑いをこらえるクララちゃん。知ってるの!?


「心配は要らないよ、ちゃんと解説もある」


 あからさまにニヤつきながら説明を指し示す雄峰。親切な事に図解入りで説明されている。


 この儀式を考えた奴は誰だぁ!!


「良かったなぁ、難易度は高くなさそうだぞぉ」


 精神的な難易度が高いんですけど!?


「ふむふむ、こうやってこうか!」


 何故かオタ芸を試しだすハゲ。お前は一人社交ダンスでも踊ってろ。




 ピエロギルドが無い以上、これをやらない訳には行かない。なんか俺を陥れる壮大な罠のような気がしてきたぞ。神の顔をどうにかして見てみたい。


 ピエロ服を脱いでTシャツと短パン姿になった俺は、祭壇に上がる。突然流れるアニソンっぽい音楽。これに合わせろと?


 曲に合わせ、手拍子を叩きながらクルクル回ってジャンプ。更に斜め上を指差しながらリズムを取って腕を引き、腰を落として両腕を天に向かって振り上げる!


……曲が終わると、ファンファーレが鳴り響いた。良かった、これでクラスアップの儀式も終わりだ。


 ピピピピ!


 突然鳴り響く電子音。祭壇の上にいつの間にか現れたスクリーンに数字が映し出された。


『58点。不合格です!』


「は?」


『もう一度心を込めて最初からやり直してください』


 読んだ瞬間、全身の毛が逆立つような錯覚に陥った。そうか……これが怒髪天を衝くという現象か。ククク……今の俺なら、神をも殺せるに違いない。

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