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美味しいカルボナーラ

「これでっ、どうだぁあ!」


 俺は、五度目のオタ芸を披露した。


『75点! おめでとう、合格です!』


 というわけで、俺は旅芸人になった。うん、全く嬉しくない。トリックスターになるまであと何回オタ芸をやる事になるのかは考えたくない。というか必ず強くなってこの世界を作った神を殺すと心に誓った。(※神殺しの理由・オタ芸)




「無事クラスアップも済んだ事だし、そろそろ移動しよう」


 ライアンの提案。強くなったら経験値がもっと貰える場所に行くのは基本だな。どこに移動するんだ?


「カルボネアの首都、カルボナーラで貴族相手の割のいいクエストが受けられるんだ」


 プリンとかゼリーとかカルボナーラとか、この世界はどうなってるんだ。ストーンゴーレムが浮いてるぞ。


「美味そうだなぁ」


 そうだなぁ。


「ああ、相手は貴族だから報酬の金も経験値も大奮発だ。美味いぞ」


 多分そっちの意味じゃないと思います。てか貰える経験値も奮発出来るの?


 なら王様に言ってプリン一匹倒したら経験値百万貰えるクエストとか出してよ、俺のために。


「ライアンはカルボネアの正騎士なんだろう? ピエロの件とは別で王様に謁見させて貰えないかな」


 確かに懸賞金が貰えるのは強くなってからだけど、その前に会っても良いよな。どんな奴か知りたいし。


 雄峰はまた悪い事を企んでるんだろうけど。


「我が主は多忙でな。特別な用事でもなければお会いするのは無理だ」


 残念だが、まあ当然か。


「それじゃあ、頑張ってね!」


 笑顔で手を振るクララちゃん。


 えっ、ついてこないの? いや、そりゃ当たり前なんだけどさ。パーティに花が無くなるのも痛いしチート剣士がいなくなるのも痛い。ハゲはもちろん一緒に来るし。


「……一緒に来ない?」


 勇気を振り絞って誘ってみた。視界の端に源三郎のニヤニヤする顔が見えたが、気にしない。後で背中にトカゲを入れてやろう。


「ごめんね、私はこの町でやらなきゃいけない事があるの」


 そりゃそうだよね。俺達みたいな行く当てのない転生者と違って、現地の人にはそれぞれの人生があるんだ。すると、雄峰がクララちゃんに何か手紙を渡した。ラブレターか?


「私達と別れてから一人で読んで欲しい」


 うん? 意味深な行動だな。まだクララちゃんの正体はヨミちゃんだと疑ってるのかな?




「うぎゃあああ!」


 俺達はストラグルの町を出て、首都カルボナーラへ向け前進した。今の叫び声は源三郎の背中にトカゲが入っただけだ。何も問題はない。


「道中、気を付けなきゃならないモンスターとかいる?」


 後ろがうぎゃうぎゃとうるさいが、無視してライアンに注意事項を聞いた。


「妖狐だな。奴等は人間に化けて旅人を騙し金品を奪う」


 洋子さん?


 いや、何でいきなりリアルモンスター出て来てんだよここはソフトクリームとかティラミスとかラザニアとか来いよ。


 あれか? 俺がネーミングをディスったからか?


「妖狐か、面白い。一度騙し合いをしてみたかったんだ」


 詐欺師がアップを始めました。




「お?」


 いつの間にか大人しくなっていた源三郎が何かを見つける。出たか!?


 彼の目線の先を見ると、絶対にこんなところまで一人で来れなそうな老婆が道端で苦しそうにうずくまっている。



 うん、バ・レ・バ・レ☆



 無言で雄峰の方に首を向ける。肩をすくめて手を額に付け、「そりゃないよ」といったポーズ。だよねー。


「大丈夫ですか!?」


 そして迷わず駆け寄るライアン。おいハゲ!


……いや、あまりにも怪しすぎて逆に本物のお婆さんかもしれない。警戒はしつつも後に続こう。


「かかったな!」


 かかってないから。ていうか俺達まだライアンも含めてお前のところに辿り着いてないから。色々と残念なモンスターだな。


「まさか、妖狐だったのか!?」


 まさかじゃねーよハゲ!


「さあ、お金を寄越しなさい!」


 その場に仁王立ちになって右手を前に差し出すお婆さん。先頭のハゲとの距離は約10メートル。


「遠いよ!!」


 俺の声に驚く妖狐(?)。


「そうなの? こうなったら仕方ない」


 何がどうなったのか知らないが、お婆さんの身体が煙に包まれ、真の姿を見せた。


「しまった!!」


 これは雄峰の声。え、何がしまったの?


 改めて、煙が消えた後に立っていた妖狐に目を向けた。


 頭には大きなキツネ色の耳。ケモミミというやつだ。明るい茶色の髪は柔らかなロングを後ろで束ね、大きなくりっとした目は灰色の瞳。鼻筋の通った整った顔立ちで服装は白い衣に緋色の袴、いわゆる巫女服。胸部は和装の上からでもはっきりと分かる双丘、お尻の辺りからふわふわしたキツネ色の尻尾が生えている。


 敢えて言おう、美少女であると!!


「ききき君、名前は? どこから来たの? お金が欲しいの?」


「どこのセクハラエロ親父だソウタぁ」


 はっ、そうだこいつはモンスターだった!


 くそっ、何て恐ろしい敵なんだ……俺にはとても攻撃できない!(※わかる。)

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