森の賢者からは有益な情報が得られなかった。いやもしかしたら知っていたのかもしれないがコミュニケーションを取る方法が分からない。
え? ゴリラが知ってるわけねーよって?
甘いな、なんか話が通じるアイテムとか魔法とかを使って動物から情報を得るなんてゲームじゃよくある話だ。
だからそんなに落ち込まなくていいんだぞマリナード、よしよし。(※頭を撫でています。事案)
「ぐぬぬ。こうなったら、トルトーネを探るのじゃ!」
王様が居なくなった途端にピエロ引き渡し要求(そもそもカルボネアのものになった覚えはないんだけど)からの挙兵と、妖しさ満載の隣国を疑うのはわかる。ていうか絶対関わってるよね?
でも、まさに今俺を巡って戦争中の敵国に俺が乗り込んでいくとか絶対失敗フラグだから!
「まあまあ、落ち着いて下さい。そんな危ない事をする前に私にいい考えがあります」
雄峰がのじゃロリ姫をなだめる。いい考えってなんだ?
「なんか考えがあるのかぁ?」
一同が雄峰に注目した。コホンと咳払いし、話し始める詐欺師。
「カルボネアの西、ストラグルの町より更に先に行ったところにビールという村があります」
今度は酒かよ!
「つまみは?」
真顔で茶々を入れる源三郎。反応早いなおい。
「何々? 食べ物の話?」
耳をピクッと動かし、身を乗り出す我等がマスコット。うん、そうだけどそうじゃないから。
「……そこに有名な占い師がいて、様々な相談に乗ってくれるそうですよ」
「おお、その占い師に父上の居場所を占ってもらえばいいのじゃな!」
うん、敵国に乗り込むよりずっといいアイディアだ。ファンタジー世界の占い師とか百発百中だし。もはや予言者としか言えないようなのばっかりだよね!
「よし、他に手がかりもないしとりあえずビールの村に行こう」
ここはリーダーである俺がビシッとしめる。え、俺リーダーだよね?
「とりあえずビール! 良い響きだなぁ」
おっさんがニヤけて言った。何故中年オヤジはビールが好きなのか。
「年と共に味覚が変わってビールがたまらなく美味く感じるようになるんだよ」
また俺の心を読んだ雄峰が注釈を入れた。へー、そうなんだ?
「私もビール飲んでみたい!」
いや、ティラミスちゃんには多分まだ早いんじゃないかな。っていうか飲み物のビールってあるのか?
ビールに行く途中にストラグルの町がある。クララちゃんはいるかな?
「ようソウタ!」
休憩のために町に寄った俺達にドノヴァンが声をかけてきた。違う、そっちじゃない。
「これからビール村に行くんだけど、何か気を付けるべき事はあるかな?」
さっそく情報収集を始める雄峰。抜け目ないなぁ。
とりあえず近くにクララちゃんはいないみたいだ、残念。
「占い師の情報など教えて貰えると助かる」
マリナードが雄峰に続いてドノヴァンに話しかけるが、大丈夫? 特に変装とかしてないけど。
「おわっ!? ままマリナード姫ではないですかごごご機嫌麗しゅう」
めっちゃどもってる。普通そうなるよな、うん。
得られた情報としては、道中にでかいモンスターがいる。占い師は占う代わりに頼みごとをしてくるらしい。
いぇーい、めっちゃRPG定番イベント目白押し!
もう絶対意図的に作られてるよね? 俺達がゲームの主人公になってるよね?
この世界を作ったのは誰だぁ!!
もっとムフフなイベントを増やせよ。ていうかこの服の呪いをどうにかしろよ!(※とにかくこれが不満らしい)