これまでのあらすじ。
俺達はビール村にやってきた。途中になんかいたような気がした。
「さて、占い師はどこじゃ?」
そう、俺達は占い師にペ……何とか国王の行方を占って貰いに来たのだ!
「どんな要求をされるのかな?」
こういうのは占いか国王捜索に必要なアイテムを取って来るお使いクエストと相場が決まってる。俺は楽観していた。ファンタジーの占い師は親切なのもお約束だからな!
「すいませーん、占い師に会いに来たんですけどー!」
なんとティラミスちゃんが村人に話しかけた! コミュ強か!
「ああ、サラトバッハさんならあっちの奥の家だよ」
占い師はサラトバッハって言うのか。どこかで聞いた事があるような気がするな?
「サラトバッハ……? うーむ、なぜか聞き覚えがあるのじゃ」
マリナードも聞き覚えがあるのか? 一体どこで聞いたんだろう。
雄峰が口を押えて震えている。こいつ……知ってる。完全に知ってやがるぜ!?
「ここが占い師の家かぁ」
占い師の家はいかにもな感じの一軒家で、赤い三角屋根にツタが絡まっている。大きな木製のドアにはライオンの頭をかたどった……なんかノックするやつ! コンコンってするあれ! があった。
「サラトバッハさーん!」
なんかやりたくなったのでアレでゴンゴンとドアをノックしてみた。
「入れ」
中からは想像した通り老婆の声が聞こえた。期待を裏切らないな!(※占い師といえば老婆)
声に促され、ドアを開ける。
「あっ、ねこ!」
俺達を待っていたのは大きな黒猫だった。そういえば途中にいたな。奥に目をやるとテーブルの上に大きな水晶玉、その更に奥側に座って俺達を待ち受ける婆さんがいた。魔女っぽいとんがり帽子を被っている。うん、これこれ! 占い師はこうでないと!
「にゃあ! 近寄るな!」
毛を逆立てて威嚇する黒猫。またもみくちゃにされるのを警戒しているようだ。
「ヒッヒッヒ、よく来たねソウタ。よくぞシュヴァルツ・サラトバッハ四天王の妨害をくぐり抜けたものだよ」
……?
俺達は互いに顔を見合わせ、「何それ?」と目で語り合った。震える雄峰。教えろよ!
…………あー、うん。気にしないでおこう。
「四天王って、三匹しかいなかったけどもしかして最後の四天王はサラトバッハさんですか?」
ここで発言する雄峰。正直どうでもいいんだけど、コイツは気になっていたようだ。
「ん? なんじゃあのトカゲはまたサボったのか」(※デカくて黒いトカゲと言えば……)
どうやら四天王は他にいるらしい。
「それはそうと、国王の居場所を占って欲しいなら頼みを聞いてもらわないとねぇ」
さすが、占い婆は話が早い。いちいち説明するのも面倒だし、話が早いのは助かるな!
「なぜそんなに事情に詳しいのじゃ? ソウタの名前も知っておったし」
マリナード、そこは気にしちゃいけないよ。ファンタジーの占い婆は何でもお見通しなんだ。
「ヒッヒッヒ、それも後で教えてやろう。お前達に頼むのは、枝豆の入手だ。この世界の人間では何の事か分からないだろうがねぇ」
枝豆だと? そうだよね、ビールには枝豆だよね!
じゃなくって! ヤバい、枝豆はよく知ってるけどどんな風に生えてるのか知らん!
俺と源三郎は頷き合い、雄峰に目で訴えた。女の子達は意味が分からない様子で首を傾げている。
「私にも……分からない事ぐらい、ある」
目をそらす雄峰。な、なんだってーーー!?
◇◆◇
一方その頃、カルボネア・トルトーネ間国境にて。
「はああああ! 『騎士の盾』!!」
「なっ、何だあいつ!? 防御しかしないぞ!」
各国騎士団同士の熱い戦いが繰り広げられていた。