俺達はストラグルの町で油揚げを作る準備を始めた。
クララちゃんはいないのかな? キョロキョロしていると、源三郎がニヤニヤしながらドノヴァンに声を掛けた。
「ドノヴァン、クララちゃんはいないのかぁ?」
ニヤニヤしてんじゃねーぞ泥棒!
「クララ? いや、ここにはいないな。お前達がカルボナーラに向かってから見てないから一緒に行ったのかと思ってたんだが」
えっ? 確かこの町でやる事があるって言ってたのに。
「クララちゃんって?」
ティラミスちゃんが無邪気な顔で聞いてくる。いや、違うんだ!
「ソウタがその子に”ほの字”なんだぁ」(※惚れているという意味)
ほの字とはまた古い! ……じゃなくて!
「いやいや、俺達をプリンから助けてくれた恩人なんだよ!」
つい言葉に力が入ってしまった。
「へぇ~」
半目でニヤニヤ笑いながら俺を見る妖狐。何その反応!?
「さあ、豆乳を作るよ!」
そんな俺達のやり取りを無視して張り切る雄峰。なに? 料理好きなの?
油揚げを作る工程はこうだ。
きれいな水と大豆を用意、十分に水を吸わせた(一晩)大豆と水を混ぜ、大豆を砕いていき、火にかけて煮あがったものをさらし布でこしてやったものが豆乳になる。
また豆乳を煮ながらにがりの溶けた水を入れかき混ぜたら蓋をしてしばらく蒸すと固まってくるので、型を取る木箱にさらし布を敷いてそこに入れる。
上から押し蓋を乗せ重石で押し固める。これで豆腐の完成。豆腐は固めに作る。
豆腐を薄くスライスして水を抜き、油で揚げれば、油揚げの完成!
「よーし、出来たぞ!」
うん、相当な技術が無いとまともに作れないという事が分かった。そして雄峰は何故か相当な技術をもっていた。お前詐欺師という名の豆腐屋だな?
出来立ての油揚げは、俺が見てもふっくらとして美味そうだ。
「このまま食うのかぁ?」
このままかぶりつきたい衝動に駆られるが、源三郎は何か美味い料理を知ってるのかな?
「いなり寿司を作らなきゃぁ!」
なるほど!
「いなりずし?」
マリナードが首を傾げる。ティラミスちゃんは目を輝かせている。やっぱり妖狐はいなり寿司の事も知ってるのかな?
「材料は簡単に揃えられるね、じゃあいなり寿司ときつねうどんだ!」
うどんまで作るのかよ! 貴様、料理スキルを取ってるな?(※ありません)
「ご馳走さまでした!」
ふう、食った食った。こんなに美味いきつねうどんといなり寿司が食えるとは思わなかったよ。
「ふおおお! こっこれは!」
突然ティラミスちゃんがテンションMAXになった。ついに目的を達成した彼女は……。
パパラパッパパー!
もはや懐かしいファンファーレが流れ、ティラミスちゃんの身体が光に包まれた!
「おおおっ!?」
『クラスアップしました』
マジで!? 油揚げってスゲー!
ティラミスちゃんはクラスアップしてマスコットからパートナーになった!
光が収まった時、彼女は尻尾が二本になっていた。ホントに増えてる!
「そうか、この為に油揚げを優先したのじゃな!」
さすが雄峰!
「えっ?」
…………偶然だった。
◇◆◇
現在のPT
ソウタ 旅芸人レベル23
ゲンザブロウ 大泥棒レベル24
ユウホウ 白魔導士レベル22
ティラミス パートナーレベル20
マリナード 戦士レベル10