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王城潜入作戦!

「別に難しい事じゃないよ。私達は現時点でマリネラ王女と敵対している訳ではないのだから堂々と城に入って中から隠し通路を通って外にいけば入り口が分かるだろう?」


 言われてみればそうだった。その隠し通路の中に王様がいる可能性もあるけど、それならそれで目的達成だしな。


「堂々と中に入れるなら、そのまま城の中を探したらいいんじゃないの?」


 ティラミスちゃんには珍しく(失礼!)まともな意見だが、世の中そううまく行かないものだからね。(※ゲームのお約束的な意味で)


「王様をマリネラ王女が隠してるとしたら、王様のいる場所自体は隠されてるはずだからね。さすがに人目のある状態で堂々と隠し部屋を探すわけにはいかない。隠し通路を通る時も、城内の人間の気を引く必要がある。ここでソウタと私の出番だね」


 要するにピエロの芸で注目を集めている隙にマリナードと源三郎、ティラミスちゃんが隠し通路を通って外に行き、場所を確認して何食わぬ顔で戻って来るという手筈だ。


 この時に隠し通路ではなく王様の居場所を探すのは? という意見もあったが、当てのない捜索を限られた時間でやりたくないのと、ゲームのお約束的にボス戦になったら全員が揃ってないと厳しいという事で却下になった。


 日中に隠し通路からの侵入口を見つけておいて、深夜に忍び込むのだ。


「なにそれ面白そう!」


「うむ、ワクワクするな!」


 女の子達は乗り気のようだ。本当は俺も隠し通路の方に行きたいんだけど、仕方ないな。


「ふふふ、大泥棒の出番だなぁ!」


 嬉しそうなのがイラつくが、本当に源三郎が活躍する場面だから素直に頼っておこう。




 そしてカルボナーラに近づいてきた。道中に他の妖狐は出てこなかったんだが、もしかして妖狐はティラミスちゃんしかいないのか?


 あと、プリン・ア・ラ・モードがいたのであっさり倒した。いつの間にか俺達も強くなっていたんだなぁ。


「待っていたぞソウタ!」


 突然、上空から大音量の口上が聞こえた。俺の名前を呼ぶって事は……嫌な予感しかしないイベントバトルが開始する。


「あれって、ドラゴンじゃねぇか!」


 歓喜する源三郎。そうか、なら一人で相手して貰おう。


 おっさんの言う通り、声の主は巨大な漆黒のドラゴンだった。そうそう、漆黒の殺戮者ってこういうのを言うんだよティラミスちゃん。


「我こそはシュバルツ・サラトバッハ四天王が一人、シュバルツ・アイデクセ!」


「アイデクセはドイツ語でトカゲの事だよ」


 雄峰が解説をする。へー、ドラゴンじゃないのかー。思いっきり羽ばたいて空飛んでるけど。なんか角とか生えてるけど。


 ていうか何たら四天王ってあのゴッド婆さんのしもべだったよな? なんでこんなところで出てくるんだ?


「サラトバッハ殿の部下じゃな? なぜこんなところにおるのじゃ」


 マリナードが俺の気持ちを代弁してくれた。


「……道に迷ったのだ」


 方向音痴かよ!


「ここはカルボナーラだぞ。ビール村はずっとあっちの方な」


 お笑い四天王が困った様子なので正しい方向を教えてやる。


「なんと、全くの逆方向ではないか!」


 そうだね。


「ではもう我の出番はとっくに終わっているのか……」


 出番ってなんだよ。ビール村の前で待ち構えてる予定だったんだろうけど。


 しょんぼりしながら飛び去るドラゴン。そっちは南だぞー。


「まてまて、そちらではないぞ!」


 優しい王女様は呼び止めてやった。いい子だ、撫でてやろう。


「なんだと!? ぐぬぬ、我はどうやって家に帰ればいいのだ」


 ああ、この流れは案内する事になるのか。何という足止め。


「こうなったら、お前達の仲間になろう!」


 うんうん……うん?


「えっ、仲間?」


「心配は要らん。我は人間の姿にもなれるからな」


 いやそうじゃなくて……まあ、いいか。


「嫌な予感がするな……」


 雄峰が呟く。今更?


「はぁっ、『変態トランスフォーム』!」


 ルビが無かったら色々と困るスキルを使って姿を変えるトカゲ。


 巨体が突然小さくなった影響で凄まじい風が吹き荒れる。巻き起こった砂嵐に目を瞑り、耐えること数秒。


 風が収まり目を開けると、そこには黒いドレスに身を包んだナイスバディ(※一回目)の女性が立っていた。見た目の年齢は二十歳ぐらい、黒いストレートロングの髪に角をあしらったカチューシャをつけている。ナイスバディ(※二回目)である。胸はEカップぐらいあるだろうか、ウエストは程よくくびれヒップは緩やかだが確実な存在感を主張する曲線を描いている。ナイスバディ(※三回目)である。


 ああ、そうさ!


「お姉さんんん!」


「はい、発作」


 一同の呆れた視線が俺に突き刺さった。

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