ふう、疲れた。
一通り芸を疲労し、源三郎達が戻って来たのを確認して一旦城から出た。雄峰の口は本当によく回るな、上手いこと兵士や大臣なんかを言いくるめて自然に城から脱出してこれた。
「まさか、森の賢者が出口を守っておったとはのう」
何それ!?
「ひとまず適当な場所で休憩しながら情報共有をしよう。これからの計画も立てたい」
そんなわけでここにもあったお洒落なカフェテリア(※2リゲル)で隠し通路の場所と今後の計画について話し合っていたのだ。
「おや? また新しい仲間が増えたのかソウタ」
背後から掛けられた声。俺にはわかる、この声の主はハゲていると!
「ライアン! 帰ったのか!?」
「はい、マリナード様。トルトーネの軍勢は我々の防衛線を突破出来ず撤退していきました!」
ライアンは敵軍を退けたらしい。このハゲ本当に強かったんだな。
「初めまして、ライアン殿。我はシュバルツ・サラトバッハ四天王の一人、アイちゃんだ」
だから名前!
「ほう、サラトバッハ殿の部下か。よろしく頼む」
知っているのかハゲ!
何はともあれ、再会を果たした俺達は事情を説明する。
「何と! 我が主は城に幽閉されているというのか……マリネラ王女なら有り得る」
有り得るのかよ! マリナードが大袈裟に言ってた訳じゃなかったんだな。
「そんな訳で、夜になったら城に侵入して王様を探そうとしてるんだ」
「分かった、私も協力しよう。マリナード王女は危険ですのでお部屋でお待ちください」
確かに、もう道案内の必要もないし王女様に危険な事をさせるわけにはいかないな。さすがに正騎士はそういう事には気が付くんだな、空気読めないくせに。
「何を言う、妾も行くぞ」
まあ、そう言うと思ったけど……。
「いけません。もし貴女様が考えるような事態であれば国王はもう亡くなっているかも知れず、その上マリネラ王女の失脚は免れないでしょう。その時にこの国の王となるのはマリナード王女しかいないのです」
何だこのハゲ!? こんなまともな事も喋れたのか。戦争でそっくりさんと入れ替わってない?
「ぐぬぬ……仕方ない。必ずや生きて帰るのじゃぞ」
ライアンに諭されて、不満げながら納得したマリナードは城に戻ることになった。これは仕方ない。
「そうだ、ユウホウとゲンザブロウのクラスアップしとこうぜ」
二人ともクラスアップ出来るレベルになっているはず。
「そうだね。三次クラスならまだ大したクエストとか要求されないはずだし」
「いい案だな。ソウタはクラスアップしないのか?」
いや、時間的に無理だから。
「また祭壇まで行って踊る時間はないね。さっさと私とゲンザブロウのクラスアップをしよう」
それぞれの職業ギルドに行き、クラスアップをした。今回もクエストは無かった。何で俺だけオタ芸なんだ!(※ギルドが無いからね)
「俺は義賊になったぜぇ!」
この嬉しそうな顔! 殴っていいかな?
「私は大魔導士になった。ここから白黒は関係なくなるみたいだね。白魔導士として働いた覚えが無いけど」
そうだな、雄峰が白魔導士だってことすっかり忘れてたよ。物知りなどこかの料理人かと。
新しいスキルも覚えたようだが、覚えてられないから実戦で披露して貰おう。
「スキルとかあんまり使ってねぇなぁ。ピエロのスキルは大活躍なのに」
活躍の仕方には大いに不満があるがな。
「さあ、準備も出来たし夜まで仮眠しよう」
「おー!」
今回一言もしゃべってなかったティラミスちゃんがここぞとばかりに元気よく返事をした。
◇◆◇
現在のPT
ソウタ 旅芸人レベル24
ゲンザブロウ 義賊レベル25
ユウホウ 大魔導士レベル24
ティラミス パートナーレベル22
アイちゃん 修道士レベル43
ライアン 正騎士レベル53