「ちょ~っと待った~~!」(※おーっとちょっと待ったコールだー!)
カルボナーラを出ようとしたところに、可愛らしい声で待ったをかけるティラミスちゃん。
「どうしたの?」
「皆さん、大切な事を忘れちゃ~いませんか?」
ちっちっちと舌を鳴らし顔の前に立てた人差し指を振る妖狐。可愛い子がやるとこんなに可愛らしい仕草になるのか。ゲンザブロウがやったら顔面にパンチを入れるところだろう。
「大切な事って?」
ユウホウも分からないといった表情で全員の顔を見回す。ライアンとゲンザブロウも顔を見合わせ、アイちゃんは首を傾げる。美人だと首を傾げる仕草も絵になるな!
「ソウタがクラスアップ出来るレベルになってたでしょ!」
そういえば! ポンと手を叩く一同。どうやらティラミスちゃんはクララちゃん的なアドバイス役も兼務する事にしたらしい。やはり天使か。
「またあのオタ芸をやるのかー。何か別の方法ないの?」
前回の苦い思い出がよみがえる。三次クラスだからって更に高得点を要求されそうだ。
「んっふっふ~、そんなこと言っていいのかな~?」
含み笑いをしながら半目ですり寄って来る。二本の尻尾が俺の身体を撫でた。
えっなに、小悪魔系のキャラで行くの? あああ、モフモフの尻尾があああもふもふうううう!
「楽しんでるところ悪いが、最寄りの祭壇はどこにあるんだ?」
「ここからちょっと南の海沿いだよ!」
ユウホウも知ってそうだけどわざわざティラミスちゃんに聞くハゲ。助かったような邪魔されたような複雑な気分だ。
そんなわけで海沿いの祭壇にやって来たのだ。途中三回ほどアイちゃんの姿が見えなくなって捜索したため、今はティラミスちゃんと手を繋いでいる。なんと美しい絵面だろうか。
「クラーケン退治をした砂浜が見えるなぁ」
そんなこともあったな……ハゲの裸体が脳裏に浮かんだので強制的に思考を停止した。
「ほら、オタ芸じゃないよ!」
ティラミスちゃんのいかにも何か企んでそうな笑み。また何か芸をやらされるのか。
指差された看板を見ると、デカデカとこう書かれていた。
『カメさんパニック!』(※ワニでもカニでもサメでもない)
あっ、色々なものに気を使ってる!
「亀なら楽勝だろぉ」
ニヤニヤ笑いながら言う源三郎。絶対楽勝だと思ってないよね?
「カメがパニックになるのか? どういう試練だ」
アイちゃんは知らないようだ。まあそうだよな。
「おそらくカメがパニックになるのではなくカメでパニックになるのだろう」
こんなどうでもいいことでは鋭いなハゲ!
「さあさあ、これを持って」
何故か設置してあるピコピコハンマーを手渡され、もう突っ込む気力も出ないので素直に台座に立った。
『怒ったぞー!』(※本気モード)
はえーよまだ始まってねーよどんだけ怒ってんだよカメ!
突然目の前に顔を出すカメ(の模型)にピコハンを振り下ろす。だが、奴はハンマーがぶつかる直前に顔を引っ込めた。
「そんなスピードじゃクリアできないよ!」
実に楽しそうに煽る詐欺エルフ。この野郎、覚えてろよ!
その日、俺は日が暮れるまでカメと戯れた。
◇◆◇
現在のPT
ソウタ 道化師レベル28
ゲンザブロウ 義賊レベル29
ユウホウ 大魔導士レベル27
ティラミス(妖狐としての強さ) パートナーレベル25
アイちゃん 修道士レベル44
ライアン 正騎士レベル53