西洋美術史Ⅱ~疑惑の成績~(4話)
いままつ
一週間後。
事務の気だるそうな男性に名乗ると、男性は「はあ」と気だるそうに息を吐き、気だるそうに目の前の紙束を捲り、気だるそうに一枚の紙を渡して来た。
新しい成績表だ。
あの一件があったから、ちゃんと評価はされているとは思うが、ドキドキしている。
トトト……急いで芸犯の部室へと向かう。別に春休みだから学生の姿は構内にはまばら。それでも行くところと言ったら部室だった。
「円先輩、拓哉先輩!」
扉を開くと先輩たちだけでなく、由里、カンナ、飛鳥先輩がそろっていた。
「ミホ! 成績見た?」
私はフルフルと首を振った。
するとカンナが「実は私たちもなんだ。見せあいっこしよ」
私たちは円を作った。「せーの……」
『西洋美術史Ⅱ』——―評価『A』!
「やったー、取れたあああああ‼」
由里もカンナも同じ反応だったが、それを上回ったのが飛鳥先輩だった。
「『C』だ! 単位取れた~……」泣きそうである。まあ、『F』で塗りつぶされている成績表には価値のある『C』評価である。
「良かったな単位が取れて」」
「はい、ありがとうございます。もう、必修科目落とすなんて経験、こりごりですよ」
これで無事に二年生になれる! そう喜んだ。
だが、飛鳥先輩が「実はね――」何を言われるか、嫌な予感しかしなかった。
(了)