建築デザイン論 ~瓜二つの家~ (第3話)
部室に戻ると、部室の前に湯水先輩がいた。
「ごめんなさい。急にいなくなってしまって」
私は首を振る。「いいえ、いいんです」
部室に入り、ヘーゼルナッツのクッキーを出すと、拓哉先輩がアイスコーヒーを出してくれた。
「ところで湯水さん。湯水さんはご家庭の手伝いとかしますか?」
キョトンとする。私も拓哉先輩もキョトンとする。質問の意図が分からなかった。
「え、ええ。しますよ」
「ゴミ捨てとかしますか?」
「はい」
「ゴミ捨ての曜日を教えていただいてもいいですか?」
「はあ……月・燃えるゴミ、火・不燃ゴミ、水・プラスチックゴミ、木・燃えるゴミ、金・不燃ゴミです」
「ゴミ捨て当番は湯水さんですか?」
「え? あ、はい。」
「昨日の晩ごはんは何を食べましたか?」
「んーと、焼きそばを作って食べました」
「お一人でですか?」
「はい。ホットプレートで、一緒にウィンナーや目玉焼を作ると、結構ボリュームが出るんですよ」
そこまで話して、湯水先輩がクッキーを落とした。
「やはり、ストーカーはあなたですね」そう円先輩は言い放った。
(続く)