写真論Ⅱ ~未来の姿~(終話)
いままつ
「よくやったな」円先輩が見下しながら言ってきた。百九十二センチメートルからなら見上げるほうが少ないのだろうから仕方がないのだからしょうがないが、若干イラッとした。
しかし、ともかく三種の神器であるボイスレコーダーを貸してくれたのは円先輩なのだ。事件解決に大いに役立った。
「ありがとうございます」
カンナが「本当によくやったよ、ミホ」と言い、由里が「おめでとう」と言う。
「これで、芸犯の副部長を任せられるな」と、不意に円先輩が言った。
ん?
「円先輩、副部長ってどういうことですか? 副部長は拓哉先輩なのでは?」
頭を振る。「芸犯はサークルだ。サークルは本来、学部生のために開かれているもの。俺と拓哉は大学院に進んだから、本来は芸犯の役職には就けない」
途中から耳が遠くなった気がした。一気に別れが訪れたようにも感じた。
「そこで、部長・副部長候補を考えたのだが、俺としては大地字、お前が部長として相応しいと思っている。で、副部長だが――」
そのとき、部室のドアが勢いよく開かれた。
ボロボロの空手着姿の片山田くんが立っていた。「円先輩……お疲れ様です。大地字さん……こんにちは……」そう言い彼はその場に倒れた。
円先輩がハアと息をこぼした。「片山田が副部長候補だ」
なんだか自信がなくなってきた。
(終話・終)