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第50話戯曲・演劇~三人のヒロイン~ (3)

戯曲・演劇~三人のヒロイン~ (3)

いままつ


次の日。演劇部部室

大津のり香は音楽学部声楽科の四年生だった。しかし、大学四年生というよりも、お局様という印象を受けた。メイクが濃いからか?

須藤が「大津先輩。こちら芸犯の方々です」と我々を紹介した。

大津は最初こそ「芸犯?」といぶかしがっていたが、事件の調査だと伝えると、協力の態度を見せた。

「私に届いた脅迫状は、これよ」そう言いながら部室中央に据えられた机に置かれたのは、折りたたまれた一枚のA4用紙だった。

「開いてみても?」

大津はクイッとあごを動かした。どうやらOKのようだ。少しムカついたが……。

脅迫状を開く。それは『The 脅迫状』といったもので、新聞紙の文字を切り取って貼り付ける古典的なものだった。

「この脅迫状はいつ届いたのですか?」由里が尋ねる。

「届くも何も、私のロッカーにマグネットで貼り付けられていたのよ。畳まれて」大津は自分のロッカーを指さして言う。

「まあ、普段この部室には鍵なんてかかっていないから、誰が入ってきてもわからないんだけどね。冗談にもほどがあるわ」

冗談……?

私は脅迫状を読んだ。



ひロイんをおりろ

さもナくバ

後悔スルことになるぞ



確かに具体的なことは何一つ書かれていない。だが、看過もできない。

(続)

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