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第51話戯曲・演劇~三人のヒロイン~ (4)

戯曲・演劇~三人のヒロイン~ (4)

いままつ


1時間後、沢田うたが現れた。

沢田うたは芸術心理学科の3年生だという。必然的に円先輩と拓哉先輩の後輩となり、円先輩も拓哉先輩のことも知っていた。

「環円先輩も石井拓哉先輩も超有名よ! 成績オールSという偉業を達成したお二人なんですから! うわぁ……会えるなんて嬉しい」

成績の情報が漏れてる点は、後で学生部に注意しないといけないが、二人の先輩は満更でもないようなので、後回しでもいいだろう。

「沢田先輩。あなたにも脅迫状が届いたとお聞きしましたが」

沢田は真剣な顔をした。

「そうなのよ。ロッカーに張り付けられてあったんだけど、一体誰がやったのか、まだ分からないのよ」

「気づいたのは六日前だとか……」

沢田は軽く頷く。

「そうよ。六日前は日曜だけど、演技のレッスンのために登校してたの。まあ、ほとんどの部員が土日も来ているんだけどね」

「ふむ。それで脅迫状はどこにあったのですか?」飛鳥先輩が訊く。彼女は、今日はアルミホイルのような、宇宙人のようなテカテカの光を反射する服を着ていた。一体どこでかったのか不思議でならない。

「五日前、その日は授業がほとんど無くて、この部室に一番に来たの。そしたら、私のロッカーにこんなものがマグネットで貼られていたんだから」

そう言い、沢田は自分のロッカーから一枚の紙を取り出して我々に見せた。

そこにはワープロ字で短文書が書かれていた。



ヒロインをやめろ

天罰が下る



大津よりもわかりやすく、『天罰』というざっくばらんな内容であった。

沢田からは、あまり情報は得られないようだった。

(続)

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