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【合計PV:120万突破!】異世界司令官〜【統帥】スキルで召喚されし無敵の帝国軍よ、誇り高き軍旗とともに前進せよ!〜
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Altemith
異世界ファンタジー戦記
2025年07月06日
公開日
15.9万字
連載中
剣も魔法も、皆して現代兵器の前では無力に等しい! 誉れある我が国防軍よ、強くあれ! 麗しきイレーネの島よ、栄えあれ! 我らが皇帝陛下よ、永遠に、永遠に! ◇ ――不慮の事故により、命を落としてしまった青年『海野大志』。 そんな彼に手を差し伸べたのは、彼の死に際をたまたま見ていた創造神『イズン』であった。 「あなたには、転生先の世界の紛争を止めてほしいのよ」 彼女はそう言い、彼にとある力と新たな体を与えた。 その力とは、 『地球上すべての時代・国家・文明の軍隊を指揮できる力』 ――【統帥】と呼ばれる力であった。 それは、古代ローマ軍から現代の核ミサイル兵器まで、あらゆる軍事力を使いこなす究極のスキルであった。 異世界に転生した彼は、 「ルフレイ=フォン=チェスター」として新たな人生を歩み出す。 そんな彼が目を覚ましたのは、誰もいない無人島。 だが、そこにはやがて人が集まり、兵器が集まり、国家の形を呈することになる。 イズンに庇護された国家『イレーネ帝国』を名乗るその小さな国家は、やがてアウスグライヒの理念の基、強大かつ神聖にして不可分な多民族国家として成長することになる。 我々は不屈の魂と共に行進するだろう。 帝国に安寧が訪れる、その時まで! 敵を攻めるのは憎しみのためではない、全ては帝国の、世界のために! 汝らよ、見逃すことなかれ。 我らが帝国の栄光を! 共に鉄と血の力で、帝国の軍旗のもとに世界を統べるのだ! これはチートによる『俺TUEEE!』ではない。 “我らTUEEEE”――国家という巨大生命体が、世界を塗り替えてゆく物語であるのだ!

第1話 俺、死す

 汝の力は、再び結び合わせん。

 時の奔流が分かちしものを。

 すべての人々は、皆兄弟となる。

 汝の帝冠の柔らかな光のもとで。

 それは万人の内に戴かれ、

 歓喜のうちに輝きを放つ。

 抱き合おう、諸人よ!

 この歓喜の歌を全世界に!

 ひざまずくか、諸人よ?

 創造主を感じるか、世界中の者どもよ。

 自らの内に神を求めよ

 汝の望む所に必ず神は住みたもう


 智天使ケルビムは、神の面前に立つ。





 地球上から戦争がなくなるなんていう奇跡が起こることはまずない。

人類の歩んできたその長い歴史は、それすなわち戦いの歴史でもあった。

打製石器に始まった戦いは、今や科学技術の粋を集めた、国家の一大プロジェクトと化している。


 ここ東京もかつては戦争による空襲の激化に伴い一度焼け野原となった。

そんな焼け野原をここまで復興させたのだから、やっぱり我々の先祖は偉大な人だったのだろう。

彼らは何事も諦めないことが大事であると今日の我々に教えてくれる。


 だが現代人はどうであろうか?

多くの人間は今や彼ら復興世代の努力の結果を当たり前のものとして享受していないだろうか?

俺もそんな人間のうちの1人であった――


 夏の東京某所、雑居ビルの一室にて。

昼間にも関わらずゲームに興じている男が一人いた。

名は海野大志、仕事なし彼女なし人生に希望なしのダメ男である。


 ちゃ~んちゃちゃんちゃんちゃんちゃんちゃ~ん♪


『オメデトウゴザイマス! サクセン、セイコウシマシタ!』


「よぉーっしゃーっ! ようやくクリアしたーっ!」


 部屋中に響き渡るゲームの効果音。

今日本中で大人気の『艦船これくたーず』という戦略シュミレーションゲームであった。

ネットで鬼畜鬼畜といわれているイベントを何とか無事乗り越えた俺は、課金カードの散らばるベッドに身を投げる。


 ふと時計を見ると、ちょうど正午を回るタイミングであった。

イベント攻略に打ち込んでいた俺はロクに寝ていなかったため、体は睡眠を要求してきた。

このまま一眠りしようかとも思ったが、眠気に勝って俺に襲いかかってきたものがあった。


 グーキュルルルル……


 襲いかかってきたものはズバリ『食欲』である。

いつから食べていないかわからないほど食事を取っていなかった俺の胃は、いよいよ悲鳴をあげていた。

流石にこのままでは寝付けないため、俺は何か食にありつこうと考えた。


「あー腹減った……なにか残っていたっけ……」


 俺は一抹の望みをかけて冷蔵庫を開く。

だが中には何も入っておらず、冷たい空気が俺を出迎えるだけであった。

ただ唯一腐りかけのきゅうりが、水を出してフニャフニャの状態で放置されていた。


「……これ、食べれないかな? いや、無理だな」


 いくらなんでも食べられないと判断した俺は、袋ごときゅうりをゴミ箱に投げ捨てた。

……さて、こうなった以上なにか買いに行かなければならないな。

俺はちらっと窓から外を見ると、空からは絶え間なく雨が降っていた。


「分かってはいたが……この中でかけたくないなぁ〜。でも空腹には耐えられないし……」


 俺は少し悩むが、結局買い出しに出かけることにした。

お天道様が暴れるよりも前に腹の虫が暴れ出してしまうからであった。

服をちょちょっと着替えた俺は、玄関に立てかけられている傘を持って外に出た。


「うーん……夏だし雨だし、やっぱりジメジメしているな……」


 クーラーの効いた部屋にずっとこもっていた俺は、外の環境に早くも嫌気が差してきた。

だがもうここまででてきたからには後戻りは出来ない、さっさと買ってこよう。

久しぶりだし、パック寿司でも買おっかな―。


 え、ニートのくせにどこにそんな金があるんだって?

それは勿論、交通事故に見舞われて死亡した両親の残した遺産であった。

親はちょっとしたお金持ちだったため、俺には数年は遊んで暮らせる遺産が残されていたのだ。


 だが唯一の話し手である両親がいなくなったことは、俺に悪影響をもたらした。

両親を失った俺にもう話し相手はおらず、社会からも孤立していった。

仕事をしていればもう少しマシであったかもしれないが、親が小金持ちであったのが仇となった。


 まぁそんなこんなな人生であったが、悠々自適に暮らせるので気に入ってはいた。

俺は傘をさして鼻歌を歌いながら、近所のスーパーへと歩いていく。

だがその途中にひとつある信号で俺は歩みを止めざるを得なかった。


「ゲッ、ちょうど赤になった……個々の信号長いから嫌なんだよなー……」


 残念ながら渡る前に赤になってしまった横断歩道の前で、俺は青になる時を待つ。

前をビュンビュンと車が通り過ぎていき、幾台かは水たまりの水をぶちまけていった。

何とか傘を前に出して防いだ俺は、ふと耳になにかが聞こえてくることに気がついた。


「……!!」


 たしかに何かは聞こえる、だがそれがなんと言っているのかははっきりしないな。


「……け!……ぞう……け!」


 少し断片は聞こえるようになってきた。

俺は何が近づいてきているのか確かめるため、後ろを振り返った。

するとそこには驚くべき光景が広がっていた。


「退け! 小僧、退け!」


 爆速で突っ込んでくる自転車と、叫ぶおじさんがそこにはあった。

ブレーキが壊れているのであろう、なんどブレーキを強く握っても自転車が止まることはなかった。

自転車はこっちに近づいてくるのだが、俺は恐怖で逃げることが出来なかった。


「退け! 轢いちまうからって……あぁっ!」


 暴走自転車にまたがるおじさんはぎょっと目を瞑る。

そのまま自転車は、驚く俺に思いっきりぶつかった。

あまり何も食べていない俺は軽々と吹き飛ばされ、道路の真ん中に放り出された。


「……ったいな、何をしやがるんだ――」


 俺は怒りの感情を持っておじさんの方を向く。

だがそのとき、俺の隣でクラクションが鳴り響くのが聞こえた。

俺がそちらを見た時には、全てが遅かった。


(あぁ……俺の人生はここで終わりなんだな)


 俺は立ち上がることも出来ず、やってきた軽トラックに轢かれた。

体は先程とは比にならないほど吹き飛び、同時に意識も吹き飛ぶ。

俺が最後に見たものは、真っ青な顔をしているおじさんであった。





 いてて……全身が轢かれた衝撃で痛む。

……ん、痛む? いや、全然痛くないぞ……

俺はとりあえず何が起きたのか確かめるために目を開こうとした。


(あれ、おかしいな。目が開かない……)


 体中どこも動かすことが出来ず、俺は横たわった状態でそのままでいた。

すると耳元に、何やら囁く声が聞こえてきた。


『……きて、起きてちょうだい』


 その声が聞こえてくると同時に、俺の目の上に手のようなものが置かれた感触があった。

その手が離されると、驚くべきことに目が開けるような、そんな感覚がしてきた。

俺は恐る恐るまぶたを開けようとすると、先ほどとは違いきちんと目が開いた。


「よかった。ようやく目が覚めたのね」


 目を開いた先には、この世のものとは思えないほどの美女の顔があった。

彼女は俺の顔を覗き込み、無事かどうか顔中を触って確かめてくる。

しばらく触りまくった後彼女は立ち上がったのだが……その体型はなんともグラマラスであった。


(これは夢なのか……? そうだ、俺は死んだのだし、そうに違いない)


 ならばこのキレイな女性は神様が俺へのご褒美としておいておいてくれたものなのだろう。

ならば何をしても怒られることはないはずだ。

俺は手を伸ばすと、思いっきり彼女の胸を掴んだ。


 ムニィ……


「嗚呼、これが極楽浄土であるか……」


「そんなわけ無いでしょうがっ!」


 バッチィィン


「い――痛ったぁい!」


 俺は胸をもんだこの女性に思いっきり頬にビンタを食らわせられた。

まさか反撃されるとは思っていなかったので、俺はあっけにとられる。

にしても殴られて痛みがある、そもそも胸の感触があったってことはまさか――


「げ、現実なのか!!」


 俺はどうやら死ぬには早いようであった。


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