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第6話 ゲームスタート

 手始めに私は、毎日日付を確認することにした。

 ばあやに頼むと、アメリアのとっておきだという暦──カレンダー──を渡される。

 スイーツの柄がかわいらしい。アメリアの少女趣味にうんざりしていた私・ベアトリクスだけれど、転移前の世界「現代」では、こういうものが大好きだったなと思い出す。

(アメリアも憎めない──当たり前よね、私はアメリアになって周りのイケメンたちを攻略していたんだから)

 とはいえ、アメリアの扱い方を間違えれば命を落とすのがいまの私が置かれた立場だ。

(今日は八月の二日だから、とりあえず二日にバツをつけて……)

 小机のうえでインク壺に羽根ペンを浸け、カレンダーの二日目にバツをつける。

 私がお父様の元へ帰るのは三十一日。三十一日までにアルベルト様に手紙と毒薬の件を告白できるよう、精一杯好感度をあげて信頼してもらおう。


(今日は八月の二日。避暑地に来て二日目、そして帰るのは三十一日。それまでになにがなんでも「アルベルト様に毒薬の件を話す」という目的を果たさなくては……)


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