ボルケーノ王国を出国したルーシェ率いる兵士たちは、途中ハッタン王国に立ち寄った。
対魔王戦に向け、新たな兵力として国王フロスト率いる兵士たちの砲撃台を多数貸し出してもらうためだ。
「これで……魔王を倒しに行けるね」
ルーシェは手応えを感じ、静かに呟いた。
「おそらくクライスは、すでに魔王の島に囚われているはずよ」
ロイスは冷静に状況を分析する。
「まぁ、あいつなら大丈夫だ。すぐにくたばるような男じゃない」
コロウは少し安心したように笑みを浮かべた。
「で、この子なんだが……」
コロウの脚元に、小さく震えながら身を隠すタローがいる。
「魔王とやり合っている間、馬車で待機してもらう。ロイス、子守りを頼みたい」
彼は優しく言った。
「はぁ!?嫌よ!」
ロイスは即座に拒絶した。
「私は魔王を倒すために派遣された魔法使いよ?アルタイル王が知ったら怒るに決まってるわ」
彼女の表情は険しかった。
「それでも、この子を一人にはできないだろう。頼む、ロイス。君にしか頼めないんだ」
コロウは真剣な表情で、深々と頭を下げた。
「ちょ、ちょっと頭を上げてよ!わ、わかったから!」
ロイスはしぶしぶ折れたものの、まだ不満げだった。
こうして、ついにルーシェたちは魔王が潜む魔窟へと歩を進めた。