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なんでお前はわかるんだよ!

 クラレンドたちは、結局正直に行くことにしたようだ。檜山氏に、お茶会で私が聞いた内容を伝えていた。もちろん、魔国は日本と関わる気はないと強調してだが。

 檜山氏はやや驚いていたが、重要な情報だと感じているようだった。


「そうですか、魔国は、そういう態度と……」


 クラレンドは言った。


「その通りだ。サマセットは可能な限りの魔力供与と技術供与を約束するので、サマセットを窓口にしていただきたい」

「なるほど。もしジークレフ・ドアーズ氏と接触することがあっても、サマセットを窓口にできないか掛け合ってみます」


 ジークレフを足がかりにはしたいのか。でもサマセットとの関係もよく保ちたい。まあ、そのへんが落としどころだな。

 すると、私のそばの空間に裂け目ができた。え、これアレじゃん、転移門の簡易版の、ジークレフがよく使ってる転移魔法の門じゃん。

 予想通り、裂け目からジークレフが降り立ってきた。


「急で済まない。小鹿野千春さん、あなたに話がある」


 何!?


「は、はい」


 セン時代もそうだったけど、アポ無しが多いんだよなこの人。やだな、この人頭回るんだよな。

 ジークレフはクラレンドと檜山氏に向けて言った。


「急で申し訳ない。彼女を少し借りていきたい」


 檜山氏は身を乗り出した。


「私も同席させていただけませんか?」

「今回は彼女とのみ話したい。あなたとの会談をしたくないわけではないが、今回は彼女だけ借りたい」


 檜山氏は残念そうな顔をしたが、「では、どうぞ」と言った。

 ていうか、何がどうぞだ、私はお前の所有物じゃねえぞコラ。

 ジークレフは私を見た。


「小鹿野千春さん。よろしいか? 半刻か四半刻で済む」


 おっ、お前はちゃんと私を見るんだな。

 魔国は24時間を12分割して数えるから、30分か1時間か。

 私は答えた。


「ご一緒します」

「では、我が邸に来てほしい」


 そう言うわけで、私は転移魔法の裂け目をくぐった。

 天井が高く、広い客間のような空間。黒檀のような卓にお茶とお菓子の用意がしてある。こっちは中華っぽい文化なんだよな。私がセン時代、ジークレフにはよくいきなりここにつれてこられたものだ。

 ジークレフに助けられた女の子、チャチャちゃんがテーブルの横で手を振って「ご用意できてますよ!」と笑った。おっ、五体満足になってる! 完全に治ったんだ! よかった!

 ジークレフは私に席を示した。


「小鹿野さん、遠慮せずに席に着いてほしい」

「では、お呼ばれします」


 ジークレフも席についた。小間使らしきおばあさんが私達の杯にお茶を注ぐ。

 チャチャちゃんが「どうぞ!」と私にお茶を勧めた。


「では、遠慮なく」


 私はお茶を一口飲んだ。

 あー! うめー! 香り高さも甘みもコクもサマセットのとは段違い!

 サマセットは茶の木の改良も製茶技術も未熟だったんだけど、魔国のはおいしいんだよな。まあ、ジークレフが富裕層で高い茶葉っていうのもあるだろうけど。

 小間使いのおばあさんが退出してから、ジークレフは杯を置き、私を見た。


「早速だが、本題に入りたい」

「は クラレンドたちは、結局正直に行くことにしたようだ。檜山氏に、お茶会で私が聞いた内容を伝えていた。もちろん、魔国は日本と関わる気はないと強調してだが。

 檜山氏はやや驚いていたが、重要な情報だと感じているようだった。


「そうですか、魔国は、そういう態度と……」


 クラレンドは言った。


「その通りだ。サマセットは可能な限りの魔力供与と技術供与を約束するので、サマセットを窓口にしていただきたい」

「なるほど。もしジークレフ・ドアーズ氏と接触することがあっても、サマセットを窓口にできないか掛け合ってみます」


 ジークレフを足がかりにはしたいのか。でもサマセットとの関係もよく保ちたい。まあ、そのへんが落としどころだな。

 すると、私のそばの空間に裂け目ができた。え、これアレじゃん、転移門の簡易版の、ジークレフがよく使ってる転移魔法の門じゃん。

 予想通り、裂け目からジークレフが降り立ってきた。


「急で済まない。小鹿野千春さん、あなたに話がある」


 何!?


「は、はい」


 セン時代もそうだったけど、アポ無しが多いんだよなこの人。やだな、この人頭回るんだよな。

 ジークレフはクラレンドと檜山氏に向けて言った。


「急で申し訳ない。彼女を少し借りていきたい」


 檜山氏は身を乗り出した。


「私も同席させていただけませんか?」

「今回は彼女とのみ話したい。あなたとの会談をしたくないわけではないが、今回は彼女だけ借りたい」


 檜山氏は残念そうな顔をしたが、「では、どうぞ」と言った。

 ていうか、何がどうぞだ、私はお前の所有物じゃねえぞコラ。

 ジークレフは私を見た。


「小鹿野千春さん。よろしいか? 半刻か四半刻で済む」


 おっ、お前はちゃんと私を見るんだな。

 魔国は24時間を12分割して数えるから、30分か1時間か。

 私は答えた。


「ご一緒します」

「では、我が邸に来てほしい」


 そう言うわけで、私は転移魔法の裂け目をくぐった。

 天井が高く、広い客間のような空間。黒檀のような卓にお茶とお菓子の用意がしてある。こっちは中華っぽい文化なんだよな。私がセン時代、ジークレフにはよくいきなりここにつれてこられたものだ。

 ジークレフに助けられた女の子、チャチャちゃんがテーブルの横で手を振って「ご用意できてますよ!」と笑った。おっ、五体満足になってる! 完全に治ったんだ! よかった!

 ジークレフは私に席を示した。


「小鹿野さん、遠慮せずに席に着いてほしい」

「では、お呼ばれします」


 ジークレフも席についた。小間使らしきおばあさんが私達の杯にお茶を注ぐ。

 チャチャちゃんが「どうぞ!」と私にお茶を勧めた。


「では、遠慮なく」


 私はお茶を一口飲んだ。

 あー! うめー! 香り高さも甘みもコクもサマセットのとは段違い!

 サマセットは茶の木の改良も製茶技術も未熟だったんだけど、魔国のはおいしいんだよな。まあ、ジークレフが富裕層で高い茶葉っていうのもあるだろうけど。

 小間使いのおばあさんが退出してから、ジークレフは杯を置き、私を見た。


「早速だが、本題に入りたい」

「はい」


 ジークレフはいきなり目つきが変わり、ジロッと私を睨んだ。


「……セン。お前、何をしている?」


 ば、バレた!?い」


 ジークレフはいきなり目つきが変わり、ジロッと私を睨んだ。


「……セン。お前、何をしている?」


 ば、バレた!?

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