俺の名はアーノルド、ローエン兵士団では軍曹として小隊の指揮を任されている。巷では「ローエンの緑鬼」と呼ばれているらしく、それがちょっとした自慢だ。
それにしても……。
ああ……愛しの我が娘。オリビア……マイ・ラブ。
俺には大切な家族がいる。愛する妻マリーに長女オリビア18歳、長男ジーク11歳、次男ライプツィヒ8歳の5人家族だ。
下の子二人はやんちゃに育ち、よくイタズラをしては長女に叱られている。
男はやんちゃなくらいが丁度いいと思う。
長女のオリビアは妻の若いころによく似た美人に成長した。可愛く気立ての良い自慢の娘だ。
オリビアは今、鉱業ギルド職員として働いている。男だらけの職場なので、悪い虫がつかないかとても心配だ。
俺は日に日に美しくなるオリビアに男ができてしまうのではないかと、気が気ではない毎日を過ごしていた。
俺はオリビアの帰りが遅いと不安になり、熊のように家の中をウロウロして気持ちを落ち着かせる。我慢ならずこっそり職場に様子を見に行こうとすると妻に「あなた……、オリビアに嫌われますよ?」と止められる。なぜバレるのだ。女の勘というやつだろうか?
それならいっそのこと俺の方でオリビアに相応しい男を探すかと密かに計画しているが、これも中々上手くいかない。
昨日は久しぶりに町の近くでオーク村が発見され討伐隊が編成された。俺は討伐隊の指揮官を任されることになった。
討伐中、俺は中々骨のある若者を見つけた。若者の名はハイド君と言うそうだ。
彼はオークキングを不可思議な技で倒してみせ、怪我を負った俺の治療までしてくれたのだ。
彼ならば将来性はあると思うし見た目もいい。オリビアも気に入ってくれるだろう。
俺は祝勝会の席で彼に結婚相手としてオリビアをどうかと薦めようと思ったが、ハイド君が花嫁姿のオリビアとキスをする瞬間を想像し、涙が滝のように溢れてきて止まらなかった。
無理だ。俺には耐えられるわけがない……。
ハイド君の弾き語りを聴いてお酒が進んだせいか、さらに悲しくなってきた……。
俺は足元でポメラニアン・ウルフの子供が不思議そうに首をかしげ、俺を慰めるかのように見つめてきたので、思わず抱きしめ慟哭した。
オリビアが男などうちに連れてきてみろ。必ずこの妖剣ティルフィル(ただのメテオライトの剣)のサビにしてくれよう……。
俺は心に固くそう誓った。