世の中は変わった。
サンザインを正義に持ち上げる方向に、変わった。
人々はこぞって、散財の善を説いた。
ゼニーの力が世界を潤していく。
活発になる生産、そして消費。
あるべきゼニーの力が、あるべき場所に流れる。
それはとてもいいことのように見えた。
(あと少し…)
ムダヅカインは思う。
(あと少しだ…)
けがれなきゼニーの力の勇者が、
世界を変えてくれる。
すべてが終わるまであと少しだ。
ムダヅカインはそう思う。
シッソケンヤーク側から、魔人が送られ、
それを倒す日々はまだ続いている。
サンザインは変身し、戦う。
声援は大きくなり、
サンザインもそれに答える。
(ゼニーの力だけじゃない)
サンザインは思う。
(みんなが応援してくれるから、戦える)
それは、心の力かもしれない。
サンザインはどんなにピンチになっても、
その声援で立ち上がり、魔人を倒す。
どんなに戦いが苦しくても、
どんなに強い魔人が来ようとも。
逃げない、負けない、そらさない。
力だけではヒーローになれない。
仲間がいて、応援してくれる人がいて、
子供達の夢があって。
守りたいものがある。
サンザインたちなりに、守りたいものがある。
それはシッソケンヤークには、
通じないものかもしれない。
大切なものがある。
それは、ゼニー云々でなく。
価値以上の輝きを見出せるもの。
サンザイン達は、それを持っている。
世界は変わる。
サンザインを英雄とする方向に。
サンザインの心は強くなる。
それはヒーローとしての成長かもしれない。
いくつもの戦いを経て、
サンザインは強くなった。
ゼニーの力のバランスが変わる。
(もう少し…)
ムダヅカインは思う。
(もう少しだ…)
きらきらとゼニーの力が龍のように流れているのを感じる。
その力があるうちに、しなければならないことがある。
彼等は戦わなければならない。
今のサンザイン達なら、あるいはと思う。
ムダヅカインは賭けようと思った。
成長したサンザインたちに、
ゼニーの力が満ちているこの世界に、
ムダヅカインは賭けようと思った。
サンザインに正義があるうちに、
戦わなければならない。