ヨーマは、シッソケンヤークの広間にいた。
ゼニーの力が満ちているシッソケンヤーク。
グリフォンがいなくなってから、
その力は余計に増したかもしれない。
(飲み込んだ…か?)
ヨーマは思うが、口には出さない。
いつものように、秘書として任務をこなしている。
流れはサンザインにむいている。
いよいよ全面対決かなとヨーマは思う。
画面を作り出して外を見る。
シッソケンヤークの城に乗り込まんとする、
サンザイン達が映し出された。
「さて、どうします?」
ヨーマは命令を待つ。
「…ムダヅカインはいるか」
「うん?いるみたいですけど」
「そうか…決着を付けにきたか、あいつも」
「とりあえず戦うんですか?」
「いや、まずは通せ」
ヨーマは驚く。
「…全力で戦わなければならないことが、あるのだ」
「わかりました」
ヨーマはサンザイン達を出迎える。
世の流れがむいているということは、
強いことだとヨーマは感じた。
シッソケンヤークに勝算があるのだろうか。
(あるいは…)
ヨーマは思う。
(何か別の真実?)
疑問を抱きながら、ヨーマはサンザイン達を連れて行く。
「連れてきました」
ヨーマがシッソケンヤークに告げる。
シッソケンヤークはうなずく。
「皆に真実を告げなければいけない」
「真実?」
ヨーマが聞き返す。
「恐るべき破滅が待っている。それを止めなければならない」
シッソケンヤークは告げる。
「質素倹約とは、破滅を最小限にとどめる術だった…」
「破滅、とは?」
ヨーマがたずねると、
シッソケンヤークは女性の声で答える。
「ハサーンっていうものだよ、ヨーマさん」
「その声、グリフォン」
「うん、俺」
グリフォンの声は、うれしそうになり、また、真剣になる。
声は説明する。
ゼニーの力を使いすぎると、ハサーンがやってくる。
ハサーンはすべてに破滅をもたらす。
破壊の神のようなものだ。
質素倹約をすすめることにより、
ハサーンの来るのを回避しようとしていた。
でも、質素倹約では、世界が乾いていくばかりだった。
「ハサーンはすぐそこまでやってきている」
「どこに?」
誰かが問う。
「ムダヅカインの中に、その中に封じてある」
ムダヅカインの気配が変わったのは、同時だった。