「今日は
「びっくりした。どうしたの。今日の
今日はお呼びがかからないな、なんて思っていた。まさか直後に『
「それよ。緩利さんの変なツッコミが癖になるの。もっと聞きたいわ」
「変なツッコミ……」
ご
「言葉を返すようだけど、四十内さんも大概だからね?」
「フッ、承知しているわ」
だからなぜにしたり顔? 度々こういう話題で自信に満ち溢れた風なのがわからない。
「だからこそ、よ。私に釣り合いとれるのは緩利さん、あなたくらいのもの」
「……理屈はわかったけどさ、理由のほうがわからないよ。まさか、お笑い番組にでも感化された?」
どうも四十内さん、ミーハーなところがある。きっと障害物のあるフィールドアスレチックを観た後は、一人筋トレに励むだろう。格闘技を観た後は気が大きくなるだろう。
そういう人だから。
「毎年、学校が新入生に向けたレクリエーションを行っているのは知っているわね?」
「あぁ、あるね。部活動紹介なんかをステージでやるアレ」
書道パフォーマンスとか、軽音部のライブとか。室内でやるだけあって運動部はできることが限られ、サッカー部ならばリフティングくらいだろうか。あとは、野球部あたりが流行りのネタをコピーしたり──。
かすかに……今、少し線になりかけた。点と点に、
ぼんやりと背景としてのみ捉えていた録音機材と、放送室でもあまり似つかわしくない
「まさかとは思うけど」
「察しがいいわね。そのまさかよ」
その反応で、皆まで言わなくともわかる。出し物をするんだろう。自称おもしろ教師のやるような、愛想笑いが関の山である"お笑い"を。
「……ん? でもさ、新入生
新入生歓迎会の見るも無惨、聞くも悲惨なな有様。それを鮮明に思い出せたのは、記憶に新しい今年度の惨状を見ていたからだ。
「来年度に向けた予行練習よ。昨日、テレビで往年の漫才ブームを取り上げていたの。観た瞬間にキーンと来たわ」
「せめてピーンと来てよ……」
何がキーンと来てるんだ。飛行機でも突っ込んできたのか。冷え冷えする思いで頭がキーンと痛んでくる。
「コンビ名はヒョータンソーアイよ」
「ひょうたん?」
瓢箪相愛? 瓢箪と何が愛し合っているんだろう。駒だろうか?
「意味は対照的な二つが作用し合うことよ。漢字だと固すぎるし、ひらがなだと少し柔らかすぎるからカタカナで」
瓢箪の相手はどの駒だろう。王手は逃げるか積みだから、瓢箪とは向き合わないだろうな。などと思考を遊ばせていると、四十内さんがそう教えてくれた。
ヒョータンソーアイ。絶妙に売れなそうなコンビ名だ。愛称はヒョータンだろうか。
「ネタはこちらに。軽く読んで後はセンスでお願い」
そんな思いを胸に、手作り感満載のホチキス留めされた薄い冊子をめくる。