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第17話 抱かれたいシスターナンバーワン

◆◆◆


アリアの父親に関しては紅龍様が「無問題」と言い切るくらい、何とか上手くしてくれたらしい。(怖いので詳細は聞いてないけど)


あれからサングレだけでなくアリアも懐いてくれたし(やたら花束くれるんだけど)私のナレ死は完全回避っぽいわね!


と上機嫌で教会前の掃き掃除を終え、郵便ポストを確認した私は、ガルー宛の手紙に気づく。

宛名を見ると、ガルーのお母さんからだった。


「よ~し! 今回もきたきた!」


手紙をポケットに入れ、私はスキップしながら教会に戻る。

実はガルーとお母さん関連は、初期の段階で手回し済みなのだ!


紅龍様にお願いして、ガルーのお母さんの勤務先の電話番号も住所も調べてもらったので(困った時の紅龍様)こちらから電話してたりする。


とりあえず「息子さんのことはお任せください!」「いつでも電話や手紙を送ってきてくださいね! ガルーもお母さんの言葉が聞けると喜びますから!」と伝えた所、お母様は泣きながら感謝の言葉を口にしていた。


『シスター、ありがとうございますッ……! 親子で暮らせるお金が貯まりましたら、直ぐにガルーを迎えに行きます!』


そう言ってくれた言葉もガルーに伝えているし、電話も手紙もゲームでディディがやったみたいに隠さずに全部ガルーに繋いでいる。


でもそれだけじゃガルーの信頼は得られていないのか、ちびっこ三人の中でガルーだけが今も私とは少し距離があるような気がした。


まぁ、少なくとも『死ね! ビッチ!』って狙撃されるようなヘイトは買ってないわよね~とテンションが上がるあまり、スキップしたりバックステップしながらガルーの姿を捜す。


そうしていると教会の一室から火の手が上がった。何じゃぁあああぁ!?


更にサングレとアリアの声が聞こえてくる。


「アー! ガルーくんが、もえたー!」

「またか……」


ガルーのパイロキネシスが暴走していると知り、私は教会のあちこちに設置している消火器と水が入ったバケツを持って現場に駆けつける。


ちびっこ達はキッズルームで遊んでいたみたいで、中心では炎にまかれたガルーが転げ回っていた。

更に逃げ惑うサングレと、消火器の使い方がわからずにガルーに投げつけているアリアで阿鼻叫喚だ。ていうか消火器は鈍器だから投擲するのは止めなさい!


ま、まぁ、ここで大人の余裕でもって鎮火すれば『シスターかっけぇ! イケメンすぎる!』『抱かれたいシスターナンバーワン!』と絶賛することだろう。


「おどきなさい! ちびっこたち!」


サングレとアリアを避難させてから、私はガルーに水をぶっかけた。


それでも鎮火にはいたらなかった……! くっ! 今日の炎はキッツイわね!


「ガルー! 消火器を使うから、目と口と鼻を閉じててね!」


サングレとアリアがバケツリレーをしてくれている間に消火器を散布する。


何度も練習したので消火器の扱いは完璧だ。

焦げ臭いにおいと煙を残して、ようやく火が消える。

現場には黒焦げでボロボロになったカーペットの上に裸のガルーが転がっていた。

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