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第12話:リヤカーで解決!

庭の片隅に置かれた自転車を見ながら、私は考え込んでいた。


荷物が積めない問題……これを解決しなければ、遠くへ商品を運ぶことなんてできない。


「ネセレ、昨日の自転車、すごかったな!」 兄たちが嬉しそうにペダルを回して遊んでいる。


でも、その後ろにはやっぱり荷物が乗らない。


「やっぱり荷物も運べるようにしたいよね。」


護衛のおじさんが顎をさすりながら言った。


「なら、荷台をつけりゃいいんじゃねえか?昔、荷物を引く車があったろ。」


その言葉に、前世の記憶がぱっとよみがえる。


――リヤカー。


「そうだ!自転車に、リヤカーをつけよう!」


◇◇◇


私は家の倉庫を探し、古い木枠と小さな車輪を見つけた。壊れた手押し車や折れたベッドの枠まで引っ張り出してくる。


「これとこれを組み合わせて……。」


両手をかざし、強くイメージする。


頑丈で、たくさん荷物が乗せられて、しかも自転車と連結できるもの――


「等価交換……リヤカーに!」


光が走り、木枠と車輪が一体となって変化する。


瞬く間に現れたのは、ぴかぴかのリヤカーだった。


荷台は広く、後ろにはしっかりした柵もついている。


「すごい!これならいっぱい運べる!」 兄たちが目を輝かせ、護衛のおじさんが試しに荷物を積み込みながら頷く。


「おお、こりゃ丈夫だ……これなら村まで何往復でもできるぞ。」


「じゃあ、自転車とつなげて……」 私はリヤカーと自転車の間をつなぐイメージを描き、もう一度等価交換を発動する。


金属のフレームがするすると伸びて、ぴったりとした連結部分が現れた。


「できた!」


さっそく兄が自転車に乗り、護衛のおじさんがリヤカーに乗せた箱を押さえる。


「いくぞー!」 ペダルが回り、自転車がゆっくりと動き出す。荷台のリヤカーも滑らかに後ろをついてくる。


「わあ!ちゃんと走ってる!」


「これなら荷物もいっぱい運べるよ!」


庭に歓声が響く。


母も「これで遠くのお客さんにも届けられるわね」と嬉しそうに笑った。


私は自転車とリヤカーを見つめ、胸を高鳴らせた。


「よし、これでおみせやさんはもっと広がるよ!」


王都でも噂になるかもしれない。


小さな店の可能性がまたひとつ広がった気がした。


ネセレ、4歳。自転車にリヤカーをつけて、夢を運ぶ準備を整えた秋の出来事である。

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