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第15話:材料を買って新商品を生み出そう!

王都での出張販売が好評すぎて、私たちのお店の在庫はほとんどなくなってしまった。


兄たちが空になった棚を見て肩を落とす。


「どうしよう、もう売るものがないよ……。」


「せっかく王都に来たのに!」


私は少し考えてから、胸を張って言った。


「じゃあ、お金で新しい材料を買って、また作ればいいんだよ!」


◇◇◇


護衛のおじさんと兄たちと一緒に市場を回る。


色とりどりの果物が山のように積まれ、香ばしい香りが漂う。


「このバナナ、ください!」


「このチョコレートも!」


コインを払って材料を買い込み、リヤカーに積み込む。次は、甘い香りの屋台で赤く艶やかなリンゴと、透明なアメを手に入れた。


「さあ、これで……!」


市場の片隅にある調理場を借りて、私は手をかざす。


「バナナとチョコをあわせて……等価交換、チョコバナナに!」


バナナがチョコレートでつややかにコーティングされ、冷やせば固まって食べやすくなった。


「わぁ!おいしそう!」 兄たちが嬉しそうにかぶりつくと、にっこり笑顔になった。


「じゃあ次は、アメとリンゴ……等価交換、りんご飴に!」


赤いリンゴが飴で包まれ、光を受けて宝石のように輝く。子どもたちが目を輝かせて列を作る。


「うまい!」


「こんなの初めてだ!」


◇◇◇


甘いものばかりじゃない。


私はふと、道具屋の隅に並んでいた古いからくり仕掛けに目を留めた。


歯車や小さな部品がぎっしりと詰まっている。


「これ、ください!」


買い取ったからくりを広げ、細かな部品をひとつひとつ見つめる。


前世の記憶が頭をよぎる。


精密で、時間を刻む道具――時計。


「等価交換……からくりを、精密な時計に!」


光がほとばしり、からくりの歯車が組み替わり、カチリと音を立てて針が動き出す。


美しい装飾が施された懐中時計が手の中に収まった。


「わぁ……!」


「こんなに小さいのに、ちゃんと動いてる!」


護衛のおじさんが目を丸くし、兄たちも興奮気味に覗き込む。


お客さんたちも口々に「これはすごい!」「ぜひ欲しい!」と声を上げた。


◇◇◇


「よし、これでまたいっぱい売れるね!」


私は笑顔でリヤカーを見た。


新しく作ったチョコバナナ、りんご飴、そして精密な時計が並んでいる。


そのどれもが、これまでにない輝きを放っていた。


ネセレ、4歳。お金で材料を買い、等価交換で新しい夢を形にした冬の出来事である。

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