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第30話:王都の門を鉄城門に!

ある日、王都から立派な使者がやってきた。父が応接室で話を聞いていると、やがて私の名が呼ばれた。


「ネセレ、王さまからのご依頼だ。」 「えっ、王さまから?」


使者が恭しく頭を下げ、重々しい声で告げた。 「王さまが、あなたの作ったあの橋の門を大層お気に召されましてな。王都の門も、あのように荘厳なものに作り替えてほしいと。」


「王都の門を……!」 胸がどきどきと高鳴る。今度はとてつもなく大きな仕事だ。


◇◇◇


「材料はこちらで用意いたします。」 使者が示したのは、山のように積まれた鉄の塊だった。村人たちが目を見開き、兄たちは「すごい量だな……!」と圧倒されている。


「鉄なんて……こんなに重いの、どうやって形にするの?」と母が呟くと、私はにっこり笑って答えた。


「だいじょうぶ。等価交換なら、ちゃんとイメージできればできるよ。」


◇◇◇


私は王都の大きな門を思い描く。人々が毎日くぐる場所だからこそ、頑丈で、風格があって、見た瞬間に「王都だ!」と思えるものを。鉄の冷たさではなく、重厚さと美しさを両立させて――。


「等価交換……荘厳な鉄城門に!」


光が鉄の山を包み、轟音とともに形が変わっていく。まばゆい光が収まったとき、そこには巨大な鉄の門がそびえ立っていた。表面には精巧な模様が彫り込まれ、中央には王家の紋章が輝いている。


「……すごい……!」


「これが王都の門に……!」


さらに私はにっこり笑って、門の上に手をかざした。


「おまけに、かっこいいオブジェをつけちゃおう!」


「等価交換……ドラゴンのオブジェに!」


門の上に、翼を広げた鉄のドラゴンが姿を現した。鋭い眼光と力強い翼、まるで今にも空を舞いそうな迫力に、人々は息を呑んだ。


「こ、これが……!」


「王都の誇りになるな!」


使者は深く頭を下げ、「王さまも必ずやお喜びになりましょう!」と感激の声をあげた。


兄たちは興奮した様子で「これ、絶対すごい話題になるよ!」と肩を叩き合い、護衛のおじさんは「お前、本当にやることがでけぇな……」と笑った。


◇◇◇


ネセレ、5歳。王都の新たな門――荘厳な鉄城門とドラゴンのオブジェを生み出し、人々の心に誇りを灯した冬の出来事である。

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